佰拾 ページ31
彼女はそう言って、苦笑混じりに笑った。
その時、ズキン………と頭が痛んだ。
ま、たあの頭痛だ。そしてここに来てから
時折感じる“既視感”を覚える。
『勿論、あの………鶯丸？とか言うたかな。
その兄さんの事は信じるし、
心強いとは思っとる………
もしかしたらこの祭から抜け出す事も、
出来るかも知れへん。
前とは、違う結果になるかも知れへん』
鶴丸「………きみが言う……“前の仲間”か？」
『………』
鶴丸「………なあ。きみの話を少し、聞きたい。
勿論、話せる範囲でいいし、ここから出る時でも、
何なら話さなくてもいい。強制はしない。
きみの言う“前の仲間”について知りたい。
駄目かい？」
口が、勝手にそんな事を口走った。
ただ単に知りたかった。
俺が知らない彼女の一面を。
きみはどのようにして生きて来たのか。
孤独を生きるきみが、今までどうして来たのか。
俺達を体を張って、命がけで守ろうとするきみ。
そんなきみを少しでも知れるならば、
きみを、守れるのだろうか。
??《【レースの最中だが、ここで良い知らせじゃ】》
俺の問に、Aが応えようと口を開いた時だった。
ふとあの蛇妖怪の声が聞こえた。
蛇赦《【中間地点じゃ。そこで各自急休息をとれ。
クフフッ……夜ではまともにレースが見れぬ。
それではつまらぬからの。
こちらから刺客は送らないでやってやろう】》
燭台「中間地点………」
切国「休息だと」
鶯丸「ほう。ではゆっくり羽を伸ばせれるな」
切国「相変わらず呑気な奴だな、あんた……」
蛇赦《【現時点で生存は………ほう、46匹か。
クフフッ……この休息はチャンスだえ？
ゆっくり休むもよし、宵闇に紛れ、
他の参加者を暗殺するもよし。
もしくは参加者を食らって
力を付けてもよしじゃなぁ？
せいぜい、生き残れるよう尽くすと良い】》
鶴丸side〜end〜
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作者名：冷泉 雪桜
| 作成日時：2020年7月21日 18時
