佰玖 ページ30
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鶯の、蛇妖怪の“刺客側”として
競技に送り込まれた………と言うのはそう言う事か。
だから鶯には本体が手元にあるんだな。
思いもよらない助太刀に、内心安堵する。
正直、本体が無いのはやはり心元なかったからな。
鶯だけは何とか自衛出来るようで安心した。
切国「俺は本体があろうが無かろうが
どっちみち使えないから意味はないが……」
鶴丸「きみは大丈夫だろ。
異常に素手が強すぎるんだよ……
先々の旅でも拳で敵を粉々にしてるじゃないか」←
切国「写しには最適だな」
鶴丸「きみもしかして“かんすと”だったのか？」
切国「覚えていない」
『…………』
鶴丸「(………ん？)」
そんな話をしつつ、
俺達はゴールの菊畑を目指しながら歩いていた時。
Aが先程から一言も
喋っていない事に気がついた。
思いつめたような、少し焦りを感じるような
そんな表情で黙々と歩いている。
この趣味の悪い殺戮レースから彼女の様子は
少し心配だったが………
今は何故か別の事に意識が
行っているようにも見える。
その時、考え事していたAが
木の根に躓いて、体制を崩した。
それに気づいて慌てて彼女の腕を取る。
『う、わっ』
鶴丸「おっ………と……
大丈夫かい、足元気をつけろ」
『ご、ごめん』
鶴丸「どうしたんだ、さっきから。
思いつめたような顔をしてるぞ」
『………予定が、狂ってな』
鶴丸「？(やけに素直に答えるな？)
予定？………もしかして、鶯の事か？」
『まさかこないなとこで会うなんて
思わへんかったから』
鶴丸「俺と同じ本丸………あー、
同じ主の下に顕現した仲間なんだ。
同じ配下に顕現した物同士は気配で分かる。
安心してくれ、味方だからな」
『………うん、それは分かるよ。でも……』
鶴丸「蛇赦の刺客、だからか？」
『それも、ある意味そうやけど………
いや、疑うんは良くないな……
一期の兄さんみたいな気配は無かったし』
鶴丸「？まさかきみ、
一期が偽物だと気づいてたのか？」
『うちには一期の兄さんだった妖怪の
“幻術”はかからへんかったみたいやからな。
接点が無かったからやろか。
兄さんらはほんま、運がええな』
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作者名：冷泉 雪桜
| 作成日時：2020年7月21日 18時
