玖拾伍 ページ16
･
鶴丸「Aっ！」
切国「しっかりしろ！」
どれくらい寝てたかな。流石に疲れたな………
目が覚めたって事は、回復してきたんかな。
ちょっと、死にかけたけども。
場合によればうちだって死ぬから
便利なんか不便なんか、よぉ分からんな
うちの体は相変わらず。
目が覚めて視界に入ったんは鶴の兄さんの
着物が赤く染まる様子やった。
うわ、折角の白い着物が。
『………ごめんなぁ、兄さん。
折角綺麗な着物、汚してもうたよ……』
思ったより頼りない声出た。
疲れてはいるけど、杭をひっこ抜けば
傷は治るはずやし………
心配はかけたくはなかったんやけどな。
うち、鶴の兄さんに抱えられているんかな。
………焔の力は再生の方に集中しとるから、
うちの体はちょっと冷えてるようやった。
だからか兄さんの体温が、
何か、温かくて。安心した。
鶴丸「！馬鹿、それは良い！
それよりもきみがっ。何でこんな事した！？」
『それ、聞くん？………嫌やっただけ、や。
悪いんか？それは悪いって、誰が決めたん？
うちが傷つくよりも、
生かしたいって思う人が居たら………
そんなん………賭けるしかないやろ……』
この世界はうちらには容赦はない。
逃げ場は限られとって、容赦なく闇が殺しに来る。
それでもこの世界の外へ………
明るい世界に………
うちの願い。この世界では非常識で、
うちにとっては当たり前の願い。
大切な人には生きていてほしい……
それだけ。他はいらない。
例え命を燃やそうとも…………
妖魔のうちを受け入れて、
一緒に居てくれる兄さん達だけは、
何が何でも死んで欲しくない。
朝霧《睨むなよ。変な奴らだな。
さあ、祭が始まる。着いてこい》
バシッ
鶴丸「………その汚い手で、Aに触るな」
？…………兄、さん？
鶴丸「…………」
…………兄、さん……
うちを抱えとる手、震えてるん？
Aside〜end〜
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作者名：冷泉 雪桜
| 作成日時：2020年7月21日 18時
