玖拾 ページ11
何だったんだろ。
あの夢………
そんな事を思っていた時、
ふとあの子が居ないことに気がついた。
あれ？どこへ行ったのかな。
燭台「鶴さん、あの子は？」
鶴丸「気がついたら居なかったんだ」
燭台「暗いね………山姥切君は」
切国「問題ない……目覚めは最悪だか」
燭台「そう。ここは………檻かな。
見事に捕まったみたいだけど……」
鶴丸「本体も流石に奪われているよな………
本当の意味での丸腰だ」
切国「………捕まったのは俺達だけじゃない様だ」
燭台「？どう言う事？」
その時山姥切君がとある一定の方角に指を指した。
僕はその方角目線を移すと、
そこには見覚えのある姿があった。
燭台「え、一期君………？」
そこには一期一振の姿。
彼は倒れたまま動かなかったけど、
やがて意識を取り戻したのか
少し顔を歪ませた後で頭を抱えながら体を起こす。
一期「ｯ………」
鶴丸「よう、一期一振。体の調子はどうだ？」
一期「ぅ……？鶴、丸……殿？
！？こ、ここは…………！！」
鶴丸「見ての通りの檻だ。
まさかきみとこんな形で出会うとは思わなかったぜ。
もっとも、きみは違う本丸の所属のようだが」
一期君は酷く動揺していたけど、
鶴さんの言葉で少し落ち着きを取り戻していく。
流石鶴さんはこう言う事には慣れているな。
でも一期君が何でここに。
彼もやっぱり僕らと同じなのかな。
一期「私は一体………な、何故貴方達が………」
切国「一期。何か覚えていることはないか？
多分俺達と同じ様な経緯だろうが」
一期「！」
鶴丸「安心してくれ、俺達は何もしないし
きみが居るとなると心強い。
その為にはまず俺達が置かれた状況を確かめたい」
鶴さんがそう告げると、
一期君は少し躊躇う仕草をしていたけど、
現状が現状だから、考えた素振りを見せた後で
意を決したように顔を上げた。
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作者名：冷泉 雪桜
| 作成日時：2020年7月21日 18時
