肆拾陸 “寂れた鉄” ページ7
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燭台「鶴さん達もここに迷い込んだんだね」
切国「やっぱりあんたもか」
燭台「まあね。で、番号が手の甲にあるかって
話だけど………あるよ。
僕は”陸“みたいだけど」
光坊はそう言いながら手袋外して見せて来た。
そこには俺達と同様に、刃物で彫られたような
”陸“と言う文字が赤く刻まれている。
改めて見ると不気味だ。血の字ってか。
しかも痛みもないから余計に。
『…………』
切国「………繋がったな」
鶴丸「嗚呼………どうやら俺達には
共通する”何か“があって、
この幽世に迷い込んだらしい」
燭台「そうなのかい？僕達に共通する何か、か」
『独眼の兄さんは冷静やな』
燭台「………彼女は？」
切国「協力者だ。この幽世を案内してもらっている。
彼女が言うには幽世を支配する神の
社の鳥居をその神に見つからないように
潜る必要があるらしい」
『Aやで。ま、信用するかは
兄さんに任せるよ』
燭台「なる程ね。手がかりがそれしかないなら、
行ってみる価値はあるって事か。
僕も少し前からここに居たんだ。
何でここにいるのかとかの記憶が無かったし、
なんなら自分がいた本丸の事も分からない。
多分君達と同じ状況下にあるんじゃないかな」
光坊はそう言って、少し考える素振りを見せる。
今の所、俺達に共通しているのは
”記憶がない事“と”手の甲に刻まれている数字“。
やはり俺達には何かしらの条件で
この幽世に来たと考えて良さそうだ。
鶴丸「なら光坊よ。ここは危険だ。
一振りでいたらきみも喰われるぞ。
俺達は今、Aの案内で幽世に出る為に
旅している。良かったらきみも来るかい？
数は多いほうがいい。
俺達がどうしてここにいるのかも
自ずと分かる筈だしな」
俺がそう話すと光坊は
また少し考える素振りを見せた後、
にこりと微笑む。
燭台「そうだね。そうしようかな。
出来る事は何でもするよ。これからよろしくね」
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作者名：冷泉 雪桜
| 作成日時：2020年7月6日 12時
