漆拾玖 ページ40
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物言わぬようになってしまった本丸。
声が聞こえない、思念もない。
ただ静かに佇み………風化に連れ、
朽ち果てるその時を待っている。
静かすぎて、悲しい。
七緒「…………他を探そうか」
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本丸の蔵にやって来た。
埃っぽい匂いが鼻をかすめ、
太鼓鐘が壮大なクシャミを繰り返していた。
太鼓「は………ぶへーくしょいっオラァ！！」←
蜂須「ﾊｧ…………太鼓鐘、
もう少し何とかならないかい。
クシャミの後に語尾をつけない」
太鼓「派手だろ？
てか鶴さんや薬研の方がひでーぜ。
………って、言いつつ優しいよな蜂須賀。
ティッシュありがとさん、ｽﾞﾋﾞｰ」
七緒「ははは、仕方ないね。さあ探そう」
そんな話をしながら、俺達は探索を開始する。
と言っても倉庫は比較的に少ない。
探索も思ったより早く終わるかもしれないな。
太鼓「おおお！？蜂須賀、蜂須賀！
デケェ松ぼっくり見つけたぜ！！」
蜂須「持ち出したら駄目だからね」
太鼓「えー………まあ仕方ねぇなぁ」
七緒「…………(ん？)」
探している間、また何かを見つけた。
それなりに大きさのある葛籠から出てきた。
中にあったのは女物の小物や化粧箱、裁縫箱がある。
見覚えがあった。
七重家にあったものだ。
これは確か母のものだったか。
妹が貰い受けていた。
そして、葛籠の奥底に、小さく光る何かがある。
それに俺は触れた。
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作者名：冷泉 雪桜
| 作成日時：2020年7月6日 12時
