肆拾参 ページ4
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鶴丸「………うお、」
『わっ………ちょ、鶴の兄さん。
急に止まらんでくれへん？』
鶴丸「ご、誤解だ！おい山姥切。
きみもいきなり止まるな」
切国「…………」
鶴丸「？山姥切？」
その時、クンッと着物引っ張られて、
うちの足は止まる。
最初鶴の兄さんが足を
止めたのかと思ってたんやけど、何や違うようで
鶴の兄さんが切国の兄さんに声をかける。
彼はジッとして、動かない。
それからキョロキョロ辺りを見渡し始めた。
切国「………鶴丸、何かいる」
鶴丸「何？」
切国「…………」
『？何も居らへんよ？もごっ』
鶴丸「しっ。きみはここに居ろ。
山姥切、Aの傍にいてやってくれ」
切国「分かった」
『(…………さっきまでバテとったのが、
嘘みたいやな)』
うちの口を塞いで、耳元で鶴の兄さんが
うちにそう忠告すると、
切国の兄さんにそう指示をしとった。
一気に緊迫した空気になって、
二振りは辺りを警戒し始めとった。
嗚呼、これ………神と妖魔の違いなんやと、
その瞬間思った。
切国「…………」
鶴丸「…………」
『………………』
切国「！飛べっ！！」
「『！！』」
暫しの沈黙の後、切国の兄さんがそう指示する。
鶴の兄さんは即座に反応して飛び上がって、
うちも指示通りに飛ぼうとしたら
切国の兄さんに抱きかかえられ、
一緒に飛び上がった。
『う、わっ！！』
切国「おい、捕まってないと落ちるぞ」
『そんないきなり言われてもな………
うちもこれくらい………』
切国「あんたに何かあったら困る」
鶴丸「Aっ！何だあれは！」
空中に飛び上がったまま話していると、
鶴の兄さんがそう声を上げた。
彼が指差しとった所にいたんは
まあ馬鹿でかい妖がいた。
ありゃガシャドクロや………
うわ厄介な奴に早速会てもうた。
『あ。ヤバい。逃げた方がええわ。毒でやられる。
兄さんらはよ離れんと、兄さんら“物”やから
あれの毒触ったら簡単に錆びて朽ちるで』
切国「！？錆びるのはごめんだな」
鶴丸「どうしようもないじゃないか！？
山姥切、逃げるぞ！！」
『ならうちが時間稼いで………
って切国の兄さんっ！
担ぎ上げるん止めてやー！？』
切国「煩い、舌噛むぞ」
『もうちょっと何かあるやろー！！』
切国「大人しく担がれろっ！あんたも死ぬぞっ」
鶴丸「走れ走れ！！」
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作者名：冷泉 雪桜
| 作成日時：2020年7月6日 12時
