陸拾 ページ20
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燭台「随分とミシャクジ様が統べる
この幽世の住人はミシャクジ様を心酔しているね」
鶴丸「仮に俺がミシャクジの立場なら
変に狂信されてもゴメンだな」
燭台「同感」
鶴丸「…………一つ、考えた事がある。
この書物の通りに俺達の立場を置き換えると、
俺達は“罪を侵した”と言う事になる」
燭台「罪？」
鶴丸「記憶に無いのが何とも言えん話だが、
もしその通りでミシャクジが簡単に
俺達を現世に帰す気がないなら、
辻褄は合うぞ？」
燭台「僕達は罪を侵した………
だから、この幽世に来てしまった……？」
改めて口にすると複雑だ。
俺が何をしたと言うんだ？？
全く身に覚えがない………
覚えがないのに罪悪感を感じるのはな……
鶴丸「もう少し探すか？」
燭台「そうだね、まだミシャクジ様については
何も分からないままだし、
罪が何なのか、それともただ巻き込まれただけか」
鶴丸「だな。確証はない。なら探すとするか」
光坊と話し合って、もう少し散策する事にした。
が、その時。カタン………と物音が背後から聞こえた。
鶴/燭「「！！」」
鶴丸「………誰だ？」
俺達は直ぐに戦闘に入れるように鯉口を切る。
光坊と顔を見合い、俺が暗闇に向かって声をかけた。
するとカタカタと、もう一度物音がする。
カトン、カトンと足音に近い一定のリズムに刻む
ような音が近づいてきた。
そしてそれは姿を現す。
??《…………》
燭台「？………人形？」
そこに現れたのはおかっぱ頭の小さな少女。
日本人形………座敷童子と言ったほうが伝わるか？
だが少女の顔は見てわかるとおりの
陶器で出来ている。人の子ではない。
無機質な足音を立て、作り物の瞳が俺達を見据える。
??《お客、サン？》
鶴丸「！………ここはきみの住処かい？」
??《合ってる。けど、違う。
ここ、主の家。初め、まして。お刀、サマ》
少女は体を軋ませるような音を立てながら、
深々と頭を下げた。
悪い気は………今の所感じないが。
少し特徴のある言葉を紡ぎながらも、
彼女は丁寧にもてなしている。
燭台「勝手にお邪魔してごめんね。
誰もいないと思っていたから」
ｸﾚﾊ《ﾌﾙﾌﾙ)………大丈、夫。
クレハは“クレハ”。そう主に、呼ばれる》
鶴丸side〜end〜
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作者名：冷泉 雪桜
| 作成日時：2020年7月6日 12時
