+参佰伍拾捌+ ページ38
Aside
ふわりと暖かな手が、優しく俺の頭を撫でる。
暖かい……………やっぱり、原田さんは優しい人だ。
誰よりも、優しい人。
俺何かに気にかけてくれた。
今までそんな事なかったから、原田さんの優しさは慣れない………
というか、分からないと言うか。
でも…………
俺は原田さんが去っていった方角を眺める。
原田さんはああは言ってくれたけど、
いろんな事が頭に入れ混じっていて……………
頭が追い付かない。
千夜斗さんの事、ナルギの正体、風間家の事。
自分の秘密、俺の正体の拒絶の恐怖。
分からなくなってしまった。
自分の価値を。ここにいる意味を。
自分の意思で入った事は悔いていない。
でもそれは俺の我が儘だ。
実際、俺は彼らに何をしてあげれた?
役に立てているのか?
分からない。俺の意味とは一体何だろう。
そう、この時の俺はそれを見出だせなかった。
_______________
そうして禁門の変と呼ばれた戦は幕を閉じた。
御所に向かって発砲したこと、
藩主父子が国司親相に与えた軍令状が
発見されたことも重なり、
二十三日には藩主・毛利敬親に
追討令が発せられ、長州藩は朝敵となる。
生き延びた大半の長州浪士は天王山にて自決。
残りの浪士は逃げながらも京の都に火を放った。
この大火事は後に“どんどん焼け”と呼ばれるようになり、
京の都に大きな傷を残した。
炎は約二万七千世帯を焼失。
鎮圧まで約三日かかる程の大規模な大火災。
人々は住む場所を奪われ、
燃え続ける都を唖然と見続ける事しか出来なかった。
新選組も勢力を持って火の鎮圧に励んだが、
都、そして人々の傷は深く深く刻まれる事となったのだ。
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冷泉 雪桜(プロフ) - ひゃくまるさん» コメントありがとうございす!そうですね。いつか書けたらいいなと思います。これからもよろしくお願いしますね! (2018年12月26日 15時) (レス) id: 18535e1a43 (このIDを非表示/違反報告)
ひゃくまる(プロフ) - これから山野さんがどんな風に成長していくか楽しみです!作品を読んでて思ったことが山野さんは辛いこととか抱え込んでしまうキャラなのでいつか誰かを頼れるようになるといいですね(*´-`) (2018年12月26日 1時) (レス) id: 057beedb8c (このIDを非表示/違反報告)
なや(プロフ) - 返信ありがとうございます!これからも楽しみにしております(´∀`*) (2018年12月2日 21時) (レス) id: 47f47e69bf (このIDを非表示/違反報告)
冷泉 雪桜(プロフ) - なやさん» なやさんとこの小説を結びつけてくれたのも新選組が紡いでくれた縁だと思います。更新が遅い日々が続いてしまいますがこれからもよろしくお願いします(*´-`) (2018年12月1日 23時) (レス) id: 18535e1a43 (このIDを非表示/違反報告)
冷泉 雪桜(プロフ) - なやさん» なやさんコメントありがとうございます!私はただ誰かと共感したくて自己満で書いただけですが、なやさんのような人に読んでもらえるなんて私としても嬉しく思います。 (2018年12月1日 23時) (レス) id: 18535e1a43 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:冷泉 雪桜 | 作成日時:2018年7月10日 16時