【薄桜鬼】追いかけ隊士！！玖章

+参佰参拾弐+ ページ12

俺は頭を下げたまま、
動く事が出来なかった。

すると山崎さんは顔を上げるように促した。








山崎「……………君には悪いが俺ではどうにもできない。
記録に嘘は書けない」


『……………そう、ですか』









やはり、無理があったみたいだった。
どうしたらいいのだろう。
このままじゃ…………
情報が流れてしまう可能性が高い。

出来たら、俺の記録は消して欲しい。
せめてあの池田屋に行ってない事にしたい。

でも、山崎さんに嘘を吐かせるなんて、俺には出来ない。
………山崎さんさんに、そんな事を頼む自分が嫌になった。



なんて馬鹿な事をしようとしたんだろう。
つくづく自分勝手な己が恥ずかしい。









『………無理を言って、すみません、でした…………』

山崎「山野君………」


『後ほど、伺います。詳しい話はその時にしますので……
少し整理する時間を下さい』









そうして俺は山崎さんから逃げるように
部屋を後にした………






＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿









ずっと逃げてきた。

迫り来る恐怖から。






大切な物を、一つ……………
また一つと失いながら、

生き長らえてきた。








目の前で、両親を殺された。

火を付けられた。









熱くて、痛い炎の中で
もがきながら、その恐怖から抗った。

でも、それらから逃げる事なんて。







怖い怖い怖い怖い。

また………奴らが来るかも知れない。







奴らが全てを奪ってく。

俺が今までずっと欲しかったものを。


俺が今まで憧れだったものを。







…………やっと見つけた、
俺が帰る場所をも奪われてしまうかも知れない。









いや……………これは俺の我儘だ。
俺が招いた事なんだ。

嫌われたくなくて、嘘をついて。
一人が嫌で、仲間探し。









嗚呼、俺はやっぱり穢れてる。






汚れている。







泥にまみれた化物。









(ならば、絶ち斬ればいい………)







(殺せばいい………)







(それで全てが終わるのだから……………)









遠くの方で、誰かの声が聞こえた。





Aside〜end〜

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