+弐佰陸拾+ ページ20
･
『沖田さん、お願いがあるのですが………
久々に、俺に指導してくれますか？』
俺は沖田さんに向かって頼み込んでみた。
そんな俺の申し出に周りの隊士はざわめきを上げる。
俺はそんな隊士達を気にもせず、
真っ直ぐに沖田さんをみやる。
俺だって、仕事が増えたからと
稽古をサボっていた訳じゃない。
以前よりは腕を上げたように感じる。
自惚れかも知れないけれど………
勿論、新選組で一・ニと言われている沖田さんに
勝てるとは思えない。
だが、試してみたいのだ。
自分がどこまで強くなったのか、
自分がどこまで彼らの役に立てるのかを。
知りたいんだ。
沖田さんは暫しの間、少し意外そうな表情を浮かべた後、
クスリと笑みを溢す。
沖田「へぇ？珍しいね、君からの申し出なんて。
君って案外好戦的？」
『それは、どうでしょうか。
自分じゃよく分かりません』
沖田「君ってさ、色んな物に無関心だし、
興味なさそうだし……欲がない子だと思っていたけど」
『よく言われます………いけませんか？』
沖田「いや？いいんじゃない？」
原田「随分とやる気じゃねぇか、総司」
沖田「左之さん、審判お願い」
原田「へいへい………山野、無理はするなよ？いいな」
『はい』
原田「(分かってねぇな………)」
原田さんはそう言って、俺と沖田さんの間に入る。
俺は一礼して、木刀を構えた。
沖田さんも同様に木刀を構える。
沖田さんは局長の流派と同じく、
天然理心派の免許皆伝を持つ実力者。
実戦に向いた流派で、得に沖田さんの突きは
受ければ終わり………
確実にやられる。
俺のは我流だけど、とても沖田さんまでの力は無い。
でも、出来る事をしよう。
俺は一度目を閉じ、集中する。
これは実戦だ…………
生き残るにはどうしたらいいかを考えろ。
原田「二人共、準備はいいな？」
沖田「勿論」
『………はい』
原田「それじゃ、始めっ！！」
そして俺は、原田さんの合図と共に、
木刀を握る手を強めた。
その瞬間、今までに感じなかった
感覚を覚えるのだった。
･
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 240人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
冷泉 雪桜(プロフ) - 風化月下さん» 月下さん、コメントありがとうございます。小説が長くなり過ぎてしまって少し申し訳ないです…………………………楽しんで貰えているのなら幸いですが(￣▽￣;)これからもよろしくお願いします！ (2018年2月8日 21時) (
レス) id: 18535e1a43 (このIDを非表示/違反報告)
風化月下(プロフ) - こんなに長くて面白い小説は初めてです！応援してるので更新頑張ってください(*´ω｀*) (2018年2月8日 19時) (レス) id: 61e3ec196f (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：冷泉 雪桜
| 作成日時：2018年1月12日 19時
