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†肆拾†【待ち狐の章】“終” ページ43









分かっていた。








『………………私は………彼女ではないよ……………』









彼女の瞳と目が合ってしまった。
分かっていたのだ。

もう一度目を合わせてしまったら…………
その目を見てしまったら。

きっと、もう戻れぬ事くらい。
彼女をこの手にかけることが、出来なくなると
分かっていた筈…………









小狐「私の記憶をご覧になりましたか?」

『………………』

小狐「………主様(ぬしさま)は、
あの方に良く、似ておられる」









彼女の瞳が主様(ぬしさま)と重なってしまった。

抑えられなかった…………
私はもう、彼女に牙を向ける事が
出来なくなってしまった。


思い出したのだ。
人と触れあい、その短い時が…………
どれほどいとおしいものかを。

そして、私は…………“主様(ぬしさま)”に
もう一度、会いたかったと言う事を。







小狐丸side〜end〜
_______________

Aside








そして朝を迎えた私はすっかり
調子が戻って、縁側に座った。

朝日に当たって、池の水がキラキラと輝いている。
隣には小狐様もいて、しばらく二人で庭を眺めた。








小狐「主様(ぬしさま)がこの庭を清めたのですな」


『(掃除しただけだけど)…………うん、
記憶通りには流石にいきませんが…………』


小狐「いいえ、私は気に入りました」

『(あ、穏やかなになってる)』









隣に座る彼はふわりと笑った。
張り付けた笑みではない笑顔。

やっと見せてくれた素顔が、何だか嬉しくなった。
…………あ、そう言えば。確かここに…………









『あ、あった。小狐様』

小狐「?何でしょう……………ッ!」

『良かったら髪、解きますよ?』









私が手に持ってるのは市販のプラスチックの櫛。
本当は和の櫛が良いのだろうけど、
生憎今はこれしかない。









小狐「…………」

『嫌なら、止めますが……………』

小狐「…………」

『…………あの?』

小狐「クスッ………………では、お言葉に甘えましょう」









しばらく黙っていた彼だったが、
そう言って彼は後ろを向いて、
髪を触らせてくれた。

静かに流れるこの時間が、
あの少女の感覚と重なる…………

こんな感じで、彼女は触れていたんだなと
改めて知れたような気がしたのだった。

‡とある神様の“涙”‡→←†参拾玖†



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冷泉 雪桜(プロフ) - ニコさん» ですが分かりにくい文章で表現してしまったので、訂正しておきますね (2020年3月30日 8時) (レス) id: 18535e1a43 (このIDを非表示/違反報告)
冷泉 雪桜(プロフ) - ニコさん» コメントありがとうございます。設定では主人公は“刀剣”をよく知らないと言う設定で通っています。この時点では夢主は“太刀”と“打刀”の違いが分かっていなくて、政府の説明もいまいち理解していない頃です。ご指摘ありがとうございます (2020年3月30日 8時) (レス) id: 18535e1a43 (このIDを非表示/違反報告)
ニコ(プロフ) - はじめまして、このお話を読んでて気になったんですが、みっちゃんは打刀ではなく太刀なのでは? (2020年3月30日 8時) (レス) id: 4b4e0cfc72 (このIDを非表示/違反報告)
さら - はじめまして!!このお話大好きです!!いつも更新してくれてありがとう!!続きも楽しみにしてます!! (2019年10月27日 16時) (レス) id: 8178d9f7d8 (このIDを非表示/違反報告)
冷泉 雪桜(プロフ) - 水神の狐さん» コメントしていただきありがとうございます。これからもよろしくお願いいたします (2019年8月15日 16時) (レス) id: 18535e1a43 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:冷泉 雪桜 | 作成日時:2019年8月11日 21時

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