【刀剣乱舞】その人間、縁結び始めました

†拾捌† 誓いの話 ページ21

Aside









『さて、後片付けをしないとだね。よいしょっと』

五虎「あ、井戸の用意、してきます」

前田「僕も行きます！」

『ありがとー』









汚れた雑巾が入った桶を抱える私の横を
小柄な二人は通りすぎていく。

元気だねぇ…………私はもうあそこまで走れないから
ちょっと羨ましいな。


微笑ましい光景に、思わず唇を緩めた時だった。
ぴたっと二人は足を止めてしまう。

どうしたんだろ？不思議に思っていると、
乱様も同じように感じたのか、
私よりも先に二人に声をかける。









乱「二人共、どうしたの？
…………って、や、薬研…………！」









そこにいたのは三振りよりも少し背が高い、
顔が整った白衣の少年がそこにいた。

乱様に“薬研”と呼ばれたその少年は
ふぅと少し呆れ混じりの息をもらす。

あわわ…………と口をぱくぱくしながら
三振りの短刀達は変な汗を出している。









五虎「や、薬研兄さん…………！」


薬研「…………安心しな。何もしねぇよ。
新しい審神者だな、俺っち“薬研藤四郎”だ」


『始めまして、薬研様。
“仮”の審神者だけど、よろしくお願いします』


薬研「“仮”？」

『私は正式な審神者じゃないのでね』









私の答えに疑問を抱いたのか、少し小首を傾げる彼。
…………何故だろう。他の三振りとは違って、
短刀短刀してない、と言うか。

大人びてると言うか。

でも私に向ける瞳は厳しい。無理もないが。

あーでも…………そうか、
神とは言え人の手を借りて
顕現をしてるから“御用人”の存在を知らないのか。

とりあえず一から話すことにしよう。
ついでにここまでの経緯も。





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御用人…………



それは日ノ本にいる数多の人の願いを叶えてきた
神々達の小さな願い事、
その御用を聞き入れる人間を指す。


宣之言書(のりとごとのしょ)と呼ばれる白紙の束は
神が願い事がある場合、その白紙のページに
勝手にその神の名が刻まれ、
願い事を叶えた後はそこに赤い印が刻まれるのだ。



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薬研「…………成る程な。
…………で、帰る家も火事で無くなり、
現在に至る、と。

そりゃ災難だったな」









薬研様は頬杖の状態で
呆れ混じりの笑みを浮かべながら、そう言った。

うん、笑えるよね。
くそ親父のせいで家なくなったし。
(お線香の不注意は私だったけどさ)

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