†拾漆† ページ20
乱side
主さんは、僕の好きなものが嫌いだった。
綺麗な物や可愛い物…………
それらは全部、主さんが捨ててしまって。
僕の姿はボロボロだった。
前はあんなに相談しに来てくれたのに、
会いにも来てくれなくなった。
名前を呼んで貰えなくなった。
兄弟が折られていく中、
僕は分からなくなってしまった。
乱「いち、兄……………」
一期「…………乱？」
乱「その、足の怪我………！」
一期「…………すまない、乱………
私は長男として、また…………弟を守れなかった」
いち兄は、いつも僕らを守ろうとして、
主さんから暴力を受けていた。
少しでも、僕ら弱い短刀を守ろうとして、
でも叶うことなく折られていく。
主さんは強い霊力の持ち主だった。
言霊で、僕らを縛るのも簡単で。
いち兄でさえも抗うことは出来なかった。
一期「私は、不甲斐ない兄だ。
お前達を、守りたいのに……！」
乱「いち兄…………！」
一期「今度は、秋田がっ………」
乱「！！」
いつまで、耐えればいいの？
全部、悪い夢であってほしい…………
そう思っても、それは許されない。
悔しかった。
いち兄ばかり、傷を負って、
薬研も、ずうっと辛い思いをして…………
もう、嫌だよ…………
＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿
『さてと、それじゃあ掃除を始めて……』
五虎「あ、主さま！」
新しい審神者さんは、不思議だった。
あんなに触れることさえ怖がっていた五虎退が、
僕に刃をむけようとしたりしたし、
僕らが嫌がるようなことはしようとしなかった。
それから、彼女は足を痛めていて…………
それがあの時のいち兄と被っちゃって。
放っておけなくなっちゃった。
『いったたたっ…………』
乱「…………だ、大丈夫？」
『ｳｳｯ…………平気、平気…………慣れてるし。
君も無理に触れなくていいんだよ？』
乱「む、無理なんか…………」
『手、震えてる。
自分で何とかするから、怖がらなくていいよ』
乱「ｯ！もう！平気だってば！」
…………放っておけなくなっちゃって、
つい、手を掴んじゃった。
その時、心地いい霊力が、
僕の中を満たしていくのが分かったんだ。
あんなに痛かったのに、傷の痛みが消えていく。
暖かくて、気持ちよくて。
『………君の手は、暖かいね』
嗚呼、この人は…………
五虎退の言った言葉が、分かった気がした。
乱side〜end〜
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冷泉 雪桜(プロフ) - ニコさん» ですが分かりにくい文章で表現してしまったので、訂正しておきますね (2020年3月30日 8時) (
レス) id: 18535e1a43 (このIDを非表示/違反報告)
冷泉 雪桜(プロフ) - ニコさん» コメントありがとうございます。設定では主人公は“刀剣”をよく知らないと言う設定で通っています。この時点では夢主は“太刀”と“打刀”の違いが分かっていなくて、政府の説明もいまいち理解していない頃です。ご指摘ありがとうございます (2020年3月30日 8時) (レス) id: 18535e1a43 (このIDを非表示/違反報告)
ニコ(プロフ) - はじめまして、このお話を読んでて気になったんですが、みっちゃんは打刀ではなく太刀なのでは？ (2020年3月30日 8時) (レス) id: 4b4e0cfc72 (このIDを非表示/違反報告)
さら - はじめまして！！このお話大好きです！！いつも更新してくれてありがとう！！続きも楽しみにしてます！！ (2019年10月27日 16時) (レス) id: 8178d9f7d8 (このIDを非表示/違反報告)
冷泉 雪桜(プロフ) - 水神の狐さん» コメントしていただきありがとうございます。これからもよろしくお願いいたします (2019年8月15日 16時) (レス) id: 18535e1a43 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：冷泉 雪桜
| 作成日時：2019年8月11日 21時
