【刀剣乱舞】その人間、縁結び始めました

†拾陸† 思い出の物語 ページ19

･






乱「ふぅ…………終わったぁ」

前田「汚れ、落ちましたね」

『手伝ってありがとう、助かったよ』








ようやく廊下が綺麗になって、一息吐いた。
うん、中々綺麗になったじゃないか。

バッチリでしょ。








前田「…………色々と思い出してしまうから、
今までここは避けてきましたが…………」


乱「こんなに綺麗だったんだね。
僕たちの本丸の正面玄関」









二振りは色々と思う所があるのだろう。
五虎退様も合わせて、泣きそうな
でもどこか懐かしそうに、自分達の本丸を見ていた。

良かった良かった。
帰る家があるのは、やっぱりいいものだね。









Aside〜end〜
＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿

前田side








“よく来たな。ここがお前が過ごす本丸だ”









主君は、そう言って歓迎してくれた。

口数が少ない方でしたが、
“好きに過ごすといい”と、
彼はそう言ってくれました。


そう、全てが…………嫌ではなかった。
始めは、優しい方だった。
正面玄関で、僕の手を引いて本丸へ入れてくれた。

暖かい、大きな手。
何度も折られても、忘れたことはなかった。
最後まで、信じていたかった。





主君。

貴方は、いつから変わってしまったのですか？
僕らは、どこで間違ってしまったのでしょうか。





人の温もりを、僕らは知っている。
それは昔も今も変わらない。

人を信じないと全員で決めたあの時。
本当は人を信じない事に、後悔があった。


僕らは物で、扱うのも人である。
心のどこでまだ、
人を信じたかったのかも知れません。




でも、またそんな機会があるのなら、
僕らは信じたい。


いとおしかった、あの日々は
嘘偽りのない、大切なものだから。









前田side〜end〜

†拾漆†→←†拾伍†

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す