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†漆佰陸拾漆† ページ28









そして姉は婚約し、九重家を出ることになった。
白無垢姿が綺麗だったな。
幸せそうに笑っていた………

その時は凄く俺も嬉しかったよ。
嬉しくて初めて嬉し泣きしたなぁ。









ツムグ「姉さん」


姉「ツムグ、今度はお前の番だよ。
お前が幸せになれよ?

俺はここを離れるが、お前は幸せになっていい。
約束してくれ、な?」


ツムグ「ハハッ………分かったよ。
もうこの家に要はないからな。
姉さんが居ない家に居ても仕方ないし、
九重家とは絶縁するよ」


姉「そうか………なら一人暮らしになるな。
何かあったら俺を頼れよ?」


ツムグ「大丈夫。馬鹿な幼馴染二人が一緒だから。
俺もちゃんと幸せだから、心配するな」


姉「そうかそうか。
俺はいつもお前の幸せを、祈っているよ」









そう言って、姉は九重家を後にした。






───────────────









それから俺は一人暮らしを始め、
幼馴染の七重 幾緒と黒田 刃と共に
学生の日々を過ごし、成人して………

まあその頃から、生き方を考え始めて、
色々あって御用人を務める事になった。
生きにくい世界だと思っていたが、
それなりに楽しかった。

………が、あの日は流石に堪えたな。









ツムグ「い、幾緒………どう言う事、だ?
姉さんが………姉さんが殺された?」


七緒「嗚呼」









姉さんが、何者かに殺された。
姉さんの夫である義兄さんも殺され、
現場は悲惨だったらしい。

幾緒によれば、幾緒が務める審神者の敵である
“時間溯行軍”の仕業だったらしい。
あんなに幸せそうにしていた姉さんが、
幸せになるべき人が、理不尽な理由で殺された。


愛してくれた、たった一人の家族を………
俺はその日失った。









七緒「ツムグ………」


ツムグ「ッ………何、で…………何で姉さんがっ、
何で姉さんなんだ!!
よりによって何で姉さんばかりが!」


七緒「すまなかった、ツムグ…………
審神者である俺が、君の姉さんを守れず、
すまない、すまなかった……」


ツムグ「…………な、ぁ……幾緒。
俺達が、桜真の血縁者、だからか?」


七緒「え、」


ツムグ「好きでこの血を受け継いだ訳じゃない、に。
なあ?俺達が桜真じゃなかったら、
姉さんは幸せになれたんだろう?

俺が、姉さんが。桜真だからだろう!?
そうなんだろう!なあ!!」


七緒「………」









ツムグ「普通の、人間に………生まれたかったよ」








†漆佰陸拾捌†→←†漆佰陸拾陸† “父の記憶”



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(プロフ) - 鶴さんが健気…どうか報われますように (2020年4月12日 14時) (レス) id: e2c5fada44 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:冷泉 雪桜 | 作成日時:2020年3月31日 14時

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