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†漆佰伍拾参† ページ14

Aside







現代。







『(また、一人………か)』








ふらふらとおぼつかない
足取りで辿り着いた現代の世界。

ともかく、呪いは彼らに影響を与えないように
何とか抜け出せたのは幸いした………
さて、めでたく私は一人となった。
普通の人間にも被害が出てしまうから、
人目を避けて行動しなければ。


とりあえず、黒田の家に行こう。
あそこなら空き家だし、誰も居ない。
資料も多少は残っていたから
犬神についてもう少し詳しく
調べられるかも知れない。









??《イ………ガミ……二……?》

『!』









その時、声のような人間には
発することが出来ない音がした。
振り返ると、ボコボコと黒いヘドロがある。

ねっとりとした粘り気のあるそのヘドロは
ゆっくりと気泡を膨らませ、
気泡がボコッと破裂するを繰り返して
私に近付いてくる。


嗚呼、妖怪だ。









妖怪《……ヌ、ッテ……ナ………?》

『……(何か、言ってる)』

妖怪《犬神、ッテ………ナァ……ニ?》

『ッ………!!』









心を読まれた?まずい………呪いのせいもあってか
良くないものが寄り付きやすくなってる。

私は白札を取り出して、妖怪に向かって投げ出すと
白札はそのヘドロの妖怪を光で目くらましをする。

その間に私は全力で逃げた。
無闇に霊力を使ったら、呪いの進行が早まる。
無駄に体力を削らないようにしないと。









妖怪《独リ、ボッチ………寂シイ、寂、シイ》









クスクスと囁いてくる。
油断も隙きもない………弱っている今の自分に
容赦なく、奴らは入り込んで来る。

惑わされてはならない。
引き込まれてはならない。


周りの人間を巻き込まないように………









『ハァハァ………ッ』









嗚呼、どうしよう。








『ウッ………う、く……』









今……独りだよ…………
泣いたら駄目なのに、視界が揺らぐ。
悔しい、悔しい。そしてとてつもなく、寂しい。

†漆佰伍拾肆†→←†漆佰伍拾弐† ”主を探して“



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(プロフ) - 鶴さんが健気…どうか報われますように (2020年4月12日 14時) (レス) id: e2c5fada44 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:冷泉 雪桜 | 作成日時:2020年3月31日 14時

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