【刀剣乱舞】その縁、巡りゆく定め (ページ9)

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†漆佰肆拾捌† ページ9

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燭台「(………同じ、だ)」

短刀達の異変で、場の空気はますます
重い物となった時、燭台切もまた………
顔を真っ青にしていた。

一部の刀剣が感じた気配は、ほんの僅かなもの。
しかし燭台切はその気配に覚えがあった。

赤く光る眼光が………下から舐めあげるような殺気と
邪心が籠もった視線。
底から湧きあげてくる恐怖。
自分達では絶対に勝てない存在に、
ザワッと悪寒が走る。

…………犬神だ。
犬神が、近くまで来ている。

呼吸も難しくなりそうな程に、
燭台切は無意識に肩で息をしていた。

しかし、それは気のせいかも知れない。
立ったままではいけないと、
自分も出来る事をしようと………
ようやく一歩足を踏み出し、
仲間に“手伝える事はあるか？”と言おうとした時、
衣服が何かに引っ張られる感覚を覚えた。

振り返ると、大倶利伽羅が
燭台切の衣服を掴んでいた。
普段馴れ合いを好かない彼が絶対にしない行動。

違和感を覚え、視線を大倶利伽羅の手から
顔へと移した時………燭台切は目を見開く。

伽羅「行く、な………」

燭台「か、伽羅、ちゃ………」

伽羅「………行、くな、また……死にたい、のか」

燭台「ｯ………」

大倶利伽羅と燭台切は長い付き合いだった。
それ故に、分かってしまった。

大倶利伽羅は今の自分と同じ、
顔色を悪くし、冷静さを保とうとしてはいるが、
呼びかける声が、見開く瞳が………
同様を隠せてはいなかった。

気のせいでは無かった。

犬神が居る。確実に。
主が居なくなってしまったのは、
犬神が関わっているのではないか。

僅かに感じた気配は、紛れもなく犬神の瘴気。
むせ返る程のおぞましいもの。

燭台「(主が………主に、何が起こったんだ？)」

最悪な想定を考えてしまう。
主は、主はまさか、いや、しかし。

浮かんでは消え、浮かんでは消えを繰り返す思考。

違っていてほしい。
そんな馬鹿な話しがある訳が無いと。

燭台切はただ、祈るばかりだった。