【刀剣乱舞】その神、縁結びを望む者

†漆佰参拾† ページ31

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『………でも、そうなったら、
山姥切さんは帰れなくなっちゃうの？』


燭台「主………」


『帰る場所は大切なものだよ。
おかえりって言ってくれるお家があるだけで、
寂しくないの………私は知ってる。

それは妖怪も、神様も同じじゃないの？
だから妖怪は“寂しい子”が沢山いるんじゃないの？

ねぇ、稲荷様………』









私がそう言った時、稲荷様は私を見つめてくる。
それから溜息をついて、呆れたように口を開いた。









稲荷《話を聞いていなかったのか。
“この時代の御霊”を連れて行ってはならない、
と行った筈だよ。

もとの時間に戻れ。
その時代の御霊は“帰れる”と言う事だよ》


太鼓「！そう言う事か！！」


加州「………言いたい事は分かったよ。
要するに元の時代の山姥切の思念を拾えば
許すって話だよね？」


稲荷《そうだ》


加州「でも俺達がいる九重の時代は7年後。

それまで山姥切をあんたが預かるって
言っているみたいだけど、
嘘じゃ………ないよね？」


稲荷《………》


加州「もしも嘘だったら、俺………
あんたを許さないから。

神殺しをしてでも、許さないから。
山姥切は俺の友達なんだよ。
俺達の仲間なんだよ」


稲荷《………くふ、は、はははははは！！
なんだ、そんな事を気にしているのかね。
安心してくれ、私は嘘はつかない。

約束をしよう。
だから元の時代に戻ったら、
私の社に来て、預かりに来るといい》









稲荷様は上機嫌に笑って、
九つの尻尾を揺らしながらそう約束してくれた。

稲荷様は確かに嘘はつかない。
私を何度も助けてくれた事もあった。
私がそう加州さんに話すと、
加州さんは渋々頷いてくれた。









切国「皆、すまない。助かった」

燭台「帰ってくる、よね？山姥切君」


切国「嗚呼、約束する。
お前達が来る日を、社で待っている」



長谷「………まあ確かに、社にいるなら
丸腰の山姥切も身を守れるか。

俺達は神の末席だからな……
比較的に狙われやすい。
神気を供給されるなら、実体も保つだろう」



切国「お前達のお陰でだ。感謝してもしきれない」


薬研「そりゃあ、7年後に
無事に帰ったら言ってくれや旦那」


切国「それもそうだな。世話になった。

………九重」


『？』









“…………ありがとう”



“これでようやく、あの本丸に帰れそうだ”









優しい神様は、そう言って……微笑んでくれた。





12歳Aside〜end〜

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