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妓夫《ひ、ひひひっ、ひゃはははははっ!!
いいなぁ!気に入ったぜぇ!!
みっともねぇ姿を晒しといて、尚も演じるかぁあ!
そうかそうかぁ!!》
桜雲「………、」
血まみれになった懐から、煙草を咥える。
マッチは使えない。血で恐らく湿っちまった。
だがこれでいい。無様は晒さない。
これが俺の最期か。まあ、悪くねぇだろう。
良く頑張ったと思う。
努力した結果がこれなのは、少し残念に思うが。
妹の敵である、あの虹色目玉野郎に会えなかったのが
心残りではあったが………俺はやりきった。
桜雲「ゴホッ………言っとく、が………
鬼に、は成らねぇからな………」
妓夫《そうかそうかぁぁあ!ひひひっ、
鬼にしてみっともねぇ姿を晒す所も見たかったがぁ……
妹がテメェの目玉と体が喰いてぇってよぉ。
仕方ねぇから、妹に免じて鬼にしないで置くぜぇ。
しかし本当に無様だなぁ!!まだその姿でこれから
喰われるってのに、無様じゃねぇと言い張るのかぁ??》
桜雲「………、」
思わねぇ。
言った所でこんな奴に俺の美的感性が分かるはずもねぇから、
言ってやらねぇが。
俺は真っ直ぐと空を見上げた。
空はやや白み始めていた。夜明けが近い。
誰が何を言おうと、俺は無様なんかじゃねぇ。
何より、俺が満足してんだ。
俺が目指した、俺の生き方。
否定させねぇ………俺の生き方は、誰にも。
桜雲「(………すまねぇな。カナエ、しのぶ)」
もう感覚がない。
耳も何も聞こえない。
見えたのは、自分の体から大量の血飛沫が飛び散った光景と、
美しい空だけだった。
全てが無音の世界で、帯鬼の鎌鬼が俺の体を切り刻み、
喰っているであろう光景の、その向こうに見えたのは、
桜吹雪だった。
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堕姫《綺麗な瞳………桜色の目玉なんて初めて見たわ》
妓夫《おい、片目だけくり抜いたが、もう片方はいいのかぁ?》
堕姫《だって、確かに綺麗だけど、
生首になってもこいつの瞼、閉じること無く空見てるんだもん。
気持ち悪いわ。それにもう夜が明けるし、
その辺に晒しておこーよ。
あたしよりも目立った罰に、惨めに晒し首にしておこ》
妓夫《そうだなぁ、その方がいいなぁあ》
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作者名:冷泉 雪桜 | 作成日時:2023年6月22日 15時