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佰弐拾参日 ページ38









しの「………」

カナエ「………そう、でしたか」









花京屋敷。花柱・桜雲虎之助の訃報は
鴉を通して伝達されていたのだろう。

彼の継子であった姉妹は、目元を赤くしつつ、
私の報告を聞いてくれていた。









『………取り戻せたのは、頸だけだったよ。
体と片目は恐らく喰われている。
何故、頸だけが残されていたのかは不明だが』


カナエ「いいえ、ありがとうございました………」

しの「ッ、どうして………あの人が………、」


『相手は上弦の鬼だったよ。
上弦と遭遇したのも偶然だったんだろうね。
聞いたよ。あの日、君達が最終選別を合格し、
晴れて鬼殺隊の隊士となったって。

そのお祝いの為に、桜雲殿はあの街に行ってたんだろう。
君達とまた、食事に連れて行こうとしたんだ』


カナエ「………」










二人は黙っていたが、悲しみの感情を感じた。
二人の感情を共感した私は、
その先の言葉をかけることが暫く出来なかった。










しの「………また……」

カナエ「しのぶ………」


しの「本当………許せない。鬼なんて、皆………っ。
どれだけ失えば………どれだけ、
同じ思いをしなければいけないのよ」


『…………桜雲から、言われていたことがある』












私は懐から桜雲殿の遺書を取り出した。
それは胡蝶の姉妹に渡す用の遺書。
桜雲殿の葬式と火葬が終わった時、
お館様より預かっていたもの。

お館様から二人に渡すように言われていた。
それと………生前、桜雲殿が私に話していたことを、
二人に伝えるために。











『私は桜雲殿に、自分が死んだ時、
花京屋敷を君達二人の所有者とするように頼まれていた。

彼は話していたよ。君達には才能があり、
柱になれる器であると………
その時、この屋敷が役に立てるとね』


カナエ「!えっ!?」

しの「桜雲さんが?」


『でもまあ、屋敷を持つのは柱の特権でもあるからね。
今の君達は隊士になったばかりの“癸”の階級だから、
この屋敷を渡すわけにはいかないかな?
他の隊士達と不公平になってしまうからね。

だから暫くは私が所有者となるよ。
ここを怪我人の治療の為の診療所のような
場所にしようと思うんだ。
君達の医学の知識があると、大変助かるから、
またここに住み込みで居てくれると助かるのだけど……
どうかな??』











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作者名:冷泉 雪桜 | 作成日時:2023年6月22日 15時

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