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佰弐拾伍日 ページ36









『………鎹鴉を飛ばすよう、うちの鴉担当の隠達に伝えろ。
花柱・桜雲虎之助の遺体回収を行う。
私が直々に、彼を迎えに行くと』


出雲《御意》


『(彼女達が心配ではあるが………)
桜雲殿の鴉、花信をうちで保護するように。
それから花京屋敷にも伝達に向かえ。いいね?』


出雲《現場はかなり荒れていル。気をつけロ》


『勿論だ。上弦の陸にあの桜雲殿がやられた。
既に日が昇っているとはいえ、油断しないよう。
罠の可能性もある。隊士達や隠達が桜雲殿を回収しようとして
食料にされてしまったら終わりだ。
私が行くまで、桜雲殿の首に手出しをするな』








─────────────────────






桜雲殿は、長年鬼殺隊に居た精鋭。
経験が最も多く、最も判断力に優れていた。
私よりも実力があり、俊敏さには最速を誇る彼が………
負けるなんて信じられない。

それ程の強さなのか。上弦の実力は………


そう考えながら、報告があった場所にやって来た。
ここは………歓楽街だな。
吉原ほどの賑わいは無いが、
ここには多くの人間が行き通う。

おかしい。鬼は人を食すとはいえ、
目立つようなことはしないはずだ。
なのに、こんな町中で………彼はやられたというのか?
すると私に近づく黒衣装の人間が一人。
隠の隊員だった。












「風柱様です、よね……?」

『!君は………』

松井「隠の松井です。お待ちしてました」


『(部隊長を指名した隠の隊員………)
ご苦労。桜雲殿の遺体には近づいていないね?』


松井「………はい。しかし、花柱様の頭部は………
さ、晒し首のように………なって、ます」


『………隊士や隠達を止めてくれていたのは君だね。
ありがとう、指示に従ってくれて。君も辛いだろうに』


松井「ッ、お役に立てず、申し訳、ありませんでしたっ」













松井殿は悔しげに声を絞り出すようにそう告げ、頭を下げた。
彼からは後悔と悔やみの感情が大きく渦巻いていた。

それは、この場にいるであろう隊士達全員が思っている事だろう。
彼らの感情が一気に押し寄せてきた。
苦しい。分かっているよ、君達の心………











『………再び、警戒を続けるよう。
私と桜雲殿の首に、絶対に近づくな』











佰弐拾肆日→←佰弐拾陸日 花風



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作者名:冷泉 雪桜 | 作成日時:2023年6月22日 15時

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