佰参拾漆日 ページ24
・
出雲《カァー!》
『………あ、任務だね。中澤殿、後よろしく』
中澤「ええっ!?あ、ちょっと!!」
『報告書は全て書き終わってるから、
それを各柱に届けるように鴉に伝えてくれ。
出雲、行くぞ』
─────────────────────
出雲《良かったのカ》
『任務が先だよ。場所は?』
出雲《南西ダ》
『了解』
私は屋敷を後にして、南西に向かって走る。
森を駆け抜けて行けば並行して出雲が飛行し、道を案内をする。
しばらく走っていくと、鬼の気配を悟り、足を止めた。
抜刀の為、刀の柄に手を伸ばし、周囲を警戒する。
『………風の呼吸──【肆ノ型・昇上砂塵嵐】』
ゴウッ!!
低い姿勢から空中に向けて、
舞い上がる砂塵の様な斬撃を連続で繰り出す。
その瞬間、周囲の木々が切り倒される。
それとともに、血飛沫が舞った。
………頸を跳ねたつもりだったが、
木を切った時に僅かに太刀筋の軌道がズレたか。
バシャバシャと血が舞い散り、
それに続いてドシャリと嫌な音を立てて鬼の肉片が落ちてきた。
鬼一《ぐぁぁあ!?どーなってる!?
一瞬で体をバラバラにぃぃ!!!?》
『………三人の内、一人は頸を跳ねれたか。
まあ、乱雑に攻撃したからな………』
鬼二《な、何なんだお前ぇ!!?》
鬼一《ただの鬼狩りにしては強すぎる……!》
『君達でも斬撃の痛みはあるだろう。
大丈夫だ、一瞬で楽にしてあげよう』
鬼《ヒ、ィ………!》
ザンッ!!
私は鬼の頸を跳ねる。
二人の鬼は頸を切られ、その頭は地へと落とされた。
血を振り払い、刀を収めたあとで
その鬼達が霧散する光景を見る。
鬼二《クソォ!!あと少しだったのに!》
鬼一《死にたくない!消えたくない!!》
………時折、本当に辛くなる。
私達がしていることは、死という名の救済でもある。
鬼は滅しなければならない。
罪なき人々を守るために、かつて人だった者達の頸を落とし、
殺さねばならない。
本当だったなら彼らも、人として生き、
人としての最期を迎える筈だった。
それが、こうも簡単に、燃えるようにして
骨も残らず消えて消滅する。
これがいい事の筈がないのだ。
『………私は、祈るよ。
君達が、次生まれ変わる時………
幸多き人の生を生きる事が出来るように。
この時代から、祈っている………』
・
34人がお気に入り
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:冷泉 雪桜 | 作成日時:2023年6月22日 15時