佰肆拾陸日 ページ15
話を聞けば、悲鳴嶼殿が彼女達に試練を与え、
それを乗り越えた後に、悲鳴嶼殿が彼女達と
年が近い私に託し、私から桜雲殿に紹介があった、
という形だったらしいが、
悲鳴嶼殿も彼女達が桜雲殿の所に行くと理解した上で、
桜雲殿に彼女達の指導の方針をお願いしていたようだ。
成程、別々に指導していたのも、
彼女達が互いを依存しないように、ということだろう。
『成程、理解した。うんうん、順調で何より。
どうかな?修行は厳しいかね』
カナエ「そうね、辛いこともあるけれど、
自分の成長を確かに感じるの。
もっと強くなって、多くの人を助けれるようになりたいわ。
──貴方みたいに」
『そうか。何だかそう言われると照れるね。
君達と肩を並べて戦える日を、心待ちにしているよ』
カナエ「ええっ。あ、そうだわ!
ねぇ桜雲さん、小鳥遊さんも一緒じゃ駄目かしら?」
桜雲「………あぁ!?ちょっと、なんでよ」
しの「いいわね。姉さんがそう言うなら。
私も小鳥遊さんともっと話したい」
『?これから何処かに行くのかな?』
桜雲「ハァ………牛鍋食べに行くんだよ。
今日は二人共、技を習得した記念にってさ」
『ほうっ、あれから半年ほどしか経っていないが、
もうか!これは期待するなぁ。君達は強いね』
私はよしよしと二人の頭を撫でた。
二人はポカンとしたような顔をして、
姉妹で互いに見合っていた。
………あ、しまった。ついうっかり……
いや、後輩とはいえど、年の近い子にすることではなかった。
パッと手を離して、降参するときのように
両手を上げながら謝罪する。
『すまない、私も嬉しくてつい。
歳近い君達にすることでは無かったね』
カナエ「………ふふふっ!いいえ、嬉しかったわ!
父や母に良くしてもらってたの。懐かしいわね」
しの「そ、そうね。手が小さくて、
私はそうは思わなかったけど」
カナエ「あら?しのぶ照れてる?」
しの「照れてない!」
桜雲「ハァ、あんたら本当にさぁ、
呑気というか、のほほんとしてるというか………」
しの「自分の事言えないでしょ!!もうっ、行くわよ!」
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作者名:冷泉 雪桜 | 作成日時:2023年6月22日 15時