三十八度 ページ40
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音柱「しかしお前も、
この鬼に自分の情報渡してよかったのかよ」
『お前達に協力シ、共に行動している時点デ、
情報は知られるだろウ。
………しばらくは面で顔はバレる事は無いとは思うがナ』
鬼は、虚しい生き物。
人の血肉を喰らわなければならない。
人の食事を取れない。命あるもの全てに等しく降り注ぐ光たる
美しい太陽の下にでさえも………そこに居ることを許されない。
それも、全て………あいつが。
無惨が居る限り………鬼は居なくならない。
『私は呪ウ。鬼の存在ヲ──そして祈ル。人の幸福ヲ』
もう覚えていない、陽の光の下に息吹く美しい景色。
光が見たいと願っていた。だが私は願ってはいけない。
多くの命を、殺して、血をすすってしまった。
それは許されるはずがないのだ。
静かな森に、静寂が続く。
音柱の視線を背に感じながら、塵となった鬼を見つめていた。
『奪った命は戻らなイ。命よりも尊い物なド、ありはしなイ。
それを、奴は………無惨ハ──』
音柱「………そういや、聞いてなかったなぁ。
改めて聞く必要があるだろうから、今のうちに聞いとくわ。
──無惨の目的は何だ」
『………奴の目的は、不死なる存在になるこト。
太陽を克服し、不滅なる生命となる事を目的とシ、
お前達鬼殺隊を滅する事ダ』
鳶寧side〜end〜
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宇随side
鳶寧の話を聞いて、ようやく俺達が闘っている
敵の親玉の強大な力を理解した。
鬼の祖っていうものは、相当面倒な奴らしい。
歴代のお館様が推察した通り、
鬼は細胞によって情報を共有していた。
毒も、改良を重ねないと無効化されるってわけか。
胡蝶にもこの情報は渡して置かねぇと。
成程。これで納得したぜ。
そりゃ無惨が見つからねぇわけだ。
徹底的に俺達から隠れ続け、そして自身の手駒とした
鬼共に、無惨の情報を漏出しないようにしていた。
ってところか。
宇随「お前は無惨の情報を話せるんだな」
鳶寧『………元忍び、と言っていたナ』
宇随「嗚呼、まあな」
鳶寧『お前が元忍びであるならば分かるだろウ。
情報の漏洩があれば口封じの為に消すのが当たり前。
だから我々には呪いがかけられていル。
無惨の情報………例え無惨の名を口にするだけでモ
我々の体は内側から破壊さレ、殺させル。
漏洩を防ぐ為、予め自壊するように作られた手駒なのダ』
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作者名:冷泉 雪桜 | 作成日時:2023年4月18日 21時