†陸佰拾陸† ページ37
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私の肩に手を置いて、覗き込む影が一つ。
顔をあげるとそこにいたのは
頭から爪先まで真っ白な神。
うずくまる私に、心配そうに眉を歪めながら
彼は私を見つめていた。
嗚呼、眩しい。
駄目だ、私に触れないで。
神様は汚いものを嫌う。
私なんかに触れたら、穢れてしまう。
そう考えていると、彼はまた少し私に近づいて、
私の頬に触れてきた。
………貴方には、貴方だけには、
今の私を見せたくなかったよ………
『“鶴、さ”……………』
鶴丸《？珍しいな、君がそう呼ぶとは。
どうした。震えているじゃないか》
『ｯ………』
鶴丸《あーあー、泣くな泣くな。
目が腫れてしまうぞ？何があった？言ってみな》
小さい頃、私の傍に居てくれた彼。
悲しいときにいつも、あの歌を聞かせてくれて、
大きな手で私の手を引いてくれて………
どうして、どうして私は彼の記憶を
忘れていたのだろう。
あの歌を贈ってくれた彼の事が今になって………
目の前にいる彼は私の事を“夜蝶”と思っている。
それでも良かった………
私が七つになった頃と共に
姿を消してしまった彼が、ここにいる。
『鶴、さ………鶴さん、鶴さ、ん………ｹﾎｯ』
鶴丸《！夜蝶落ち着け、呼吸が………》
『鶴さ、…………ふっ……ううっ………』
鶴丸《……………》
･
『………ｯ！』
鶴丸《〜♪》
静かなる羽音 小さく問う
季節と貴方を別つものはなにか
空から降り注ぐ 冷たいもの
悲しくて寂しいもの 飛べはしない
はためく羽根を 凍りつける
春は来ない 貴方がいないから
雪が桜の花弁のように
優しく降り注ぐ
蝶ははためかせ いざ行く
約束の春へ
雪花の蝶
知っている歌が、私の耳に届いた。
これは鶴さんが私に贈ってくれた歌そのもの。
どうして？どうして紅羽さんと
夜蝶さんの鶴丸国永が、この歌を知っているの？
一瞬その疑問が頭を過ったが………
途中からどうでも良かった。
ただ、寂しかったんだ。
一人が怖くて仕方なかったんだ。
そんな時いつもこの歌を歌えば、
少しは気が晴れていた。
温かい声。優しい声……………
私は、彼を知っている。
彼は、間違いなく私の知る
“鶴丸国永”だった。
Aside〜end〜
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冷泉 雪桜(プロフ) - 通りすがりさん» 返信が遅れました！ご協力ありがとうございます。参考になりました！これからもよろしくお願いします (2020年2月21日 22時) (
レス) id: 18535e1a43 (このIDを非表示/違反報告)
通りすがり - 初めまして。シリーズ最初から駆け足で全部拝見しました！思わず笑ったり、涙が溢れたりどの話もとても好きです。どれも好きで選べないんですが、光忠と最近やっと出てきました、長谷部ですかね。これからも応援しています。更新楽しみにしてます！ (2020年2月19日 23時) (レス) id: 888b52f9c8 (このIDを非表示/違反報告)
冷泉 雪桜(プロフ) - ％さん» いつもコメントありがとうございます。次の新作は今作があまりにも長すぎたので、もう少し短くするつもりです。それでもこの作品を好んで読んでくださりありがとうございます。これからもよろしくお願いいたします。 (2020年2月15日 20時) (レス) id: 18535e1a43 (このIDを非表示/違反報告)
％ - 続編おめでとうございます！遂に、青江の登場ですか…！思わずにっかりしちゃいましたよ、えぇ() 好きなシーン？全部に決まってんじゃないですかッ！ありすぎて決められませんよッ。 更新頑張ってください！ (2020年2月13日 8時) (レス) id: 02aec80553 (このIDを非表示/違反報告)
冷泉 雪桜(プロフ) - 追記にありましたように、この物語が終わりましたら次の新たな物語を製作します。 その製作の参考に、読者の皆様にこの “縁結びシリーズ”の中で印象に残ったシーンや 好きなシーンを語ってください。 (2020年2月9日 12時) (レス) id: 18535e1a43 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：冷泉 雪桜
| 作成日時：2020年2月9日 9時
