五色兄妹物語*6

物語216話 ページ6

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鍵閉めが終わり、職員室に鍵を返しにいった


校門に向かって歩く私の隣にいる月島に、話しかける



『月島、一緒に帰る? そのために待っててくれてた?
　もしかして』



月「まあ、そうだけど」


『!?』




月「…なに」


『いや、まさか本当にそうだとは思わなくて…』




ただの気まぐれか


まだ愚痴足りないのかと思ってた




月「昨日、中学生がこの辺で刺された事件あったし
　物騒でしょ 五色なら尚更…」


『!! ………』




麻理のことが、テレビに流れたのか

月島が知っていた


突然のことで驚いて、私は声が出ない


沈黙が続く



月「どうしたんだよ」



私が黙ったので疑問に思った月島が訊ねる



『…なんでもない 足グキッてなっただけ』



動揺して、適当についた嘘



月「もしかして、知り合い?」


『誰が?』



月「刺された中学生」


『…… うん。』



この場には二人しか居ない

だから、どんな些細なことでも見ているのか


私が動揺したのも、気づいていた



月「もしかして、それで搬送先の病院に急いで向かってたわけ?」


『そう… 言えばよかったんだけど、焦ってたのも
　あって言えなくて…』



私がそう言うと

立ち止まる月島



うつ向いているので、顔がよく見える

とても沈痛な表情



月「今朝のニュースで見たんだ… 被害者の中学生
　今もまだ意識が戻っていないって」


『……』



昨日も大変だった


手術が続けられないほど出血して、輸血が必要だったなんて

言える内容ではない





月「あれ…」


『何?』



急に立ち止まるので、不思議に思い


月島の目線の先に目をやる




校門に一人

壁にもたれ掛かる背の高い男


外は薄暗く、顔は見えないけど


サラサラの黒髪が、私に気づいて手をふるのと同時に揺れるのですぐ分かった



隣にいるのが月島だと気づいてないのか

のんきでいる目の前のバカに近づいて、声をかける



『このバカ ここまで来るのに電車賃もったいないでしょうが』


月「…?」


月島に、「気にするのそこ?」みたいな顔をされる



工「このくらい、走ってきたし」


『ちえっ』



工「…うっげ 月島っ」



月「どうも」


『(げっ…)』




ヤバイ…



月島の上から下を睨む目は


かなり危険。



よし、工


5秒台で走りな、駅まで
　

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