五色兄妹物語*6

物語254話 ページ44

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少し、空気が和んだ気がした


もうあまり壁を感じない

今なら



『…ごめんね、工』


工「!!」



『ずっと言いたかったの、ごめんなさい。

　何も言わずに出ていって、連絡も何もしないで…
　だから今日私を避けたし、怒ってるんだよね?…』



さっきまでの和やかな空気を壊すように

はらはらと涙が溢れる




工「今は俺、Aに泣かれて、どうすればいいか分かん
　ないんだよ…」



そうだ、前は工も謝るか

ただ何も言わずに抱きしめてくれた


工の温もりが好きだった




工「俺も悪かった ごめん!」


『!! …いいよ、許す。
　私、ずっと謝りたかったの、やっと言えたよ…っ』



それでもう止まらない。

悲しいよりも、言えて良かったって気持ちの嬉し涙が勝っている



工「Aはズルいし、凄えよ」


『なんで…?』



工「Aが泣いてるの見て、自然と俺も悪かったって
　思えるから、謝るきっかけに繋がって素直になれる」


『私はこう、すぐ泣くの止めたいのっ』


工「そのままでいいよ、大丈夫だから」



ふわっと工の匂いが鼻に香れば

いつの間にか大好きな温もりに包まれていた



『なんで今になって、もう…っ』



身体全体が小刻みに震える

心臓もバクバク鳴っている


動けないなんて錯覚するくらいなぜか

金縛りみたく身体が固まる



試しに足を動かそうと

右足を勢いよく振り上げた



工「いﾞっだ!?」


『あ、ごめん』



私の蹴りが工の脛にヒットした


ついでに私の金縛りも解けた

　

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