31話 ページ31
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抱き締めていた力を緩め、そっと離れた入間さん。その顔は驚愕そのもので、目を見開いていた。
「目ェ閉じとけ」と囁かれ、私は大人しく言われた通りに目を閉じ、それから何度も唇にキスが落とされた。
いつまでも続くキスに息がし辛くなり、もうやめてほしいと入間さんの胸をグイッと押すと、ようやくキスの雨は止み、私は目を開いた。眼前の入間さんは私とは違ってこれっぽっちも息が乱れてなくて、そんな姿にムッと腹が立つも、ムンムンと漂う大人の色気とオーラが半端じゃなくて頭がクラッとした。
「はっ。これくらいでバテてるなんて、お前もまだまだ子供だな」
「入間さんが激しいのが悪いっ! 大体、私と入間さんは付き合って、ない…のにっ…」
「!? な、何泣いてんだよ。付き合ってないって、お前が嫌がるからあえて俺は」
「あえてって何!? 入間さんはそんな半端な気持ちで私にキスしたの!? 何それ…ほんと、意味わかんない…。私は、入間さんのこと、好きなのに…わた、しだけが…好きみたいで……馬鹿みたいじゃん…うっ、うぅぅ…」
「…なわけねぇだろ。ほら、顔上げろ」
「いやっ。なんで好きでもない女にキスするの…私なんかの、どこがいいのよっ!」
「っ!ふざけるのもいい加減にしろ!!」
ガシッと両肩を掴まれ、大声を出されて驚いた私はとっさに顔を上げる。
入間さんが怒っている。笑ってなんかいない。すごく…怒っている。
こういう時、何を言えばいいかわからなかった。「ごめんなさい」というのも何か違う。でもそれ以外に言葉が見当たらない。私はどうにか出した小さな声で「ごめ、んなさ…い」と言ったが、入間さんの顔は怒ったままで変わらなかった。
どこで私は入間さんの地雷を踏んでしまったんだ。何が駄目だったんだ。どうしてこうなっちゃったんだ。
「入間さ、ん。ごめんな、ごめんなさい…」
ひたすら謝罪の言葉を述べる。もうそれしか方法がなかった。
「A」
「は、っい…」
肩から手が離れ、優しく抱き締められた。
私のこの煩い心臓の音は、きっと入間さんに聞こえているだろう。
「私は貴方の事を愛しています。この気持ちは本物です。結婚だって考えています。歳の差なんて私は気にしていませんし、それに…貴方以外もう考えられないんです。これから先、A以外の女性にこんな気持ちを寄せることを」
入間さんは私の手を握り、そのまま左手の薬指に口付け「ここに今すぐ指輪をはめてやりたいくらい愛してますよ」と微笑みながら言った。
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きのこ - 読んで2年?後にまた戻ってきた、きのこです!!この時まだ私高校生だったんですよねー!!懐かしい、、今でも銃兎さんは大好きです!!以上、きのこでした!!з=⊃`∀)⊃ヒョオッ (2020年10月25日 1時) (レス) id: 2a559184c7 (このIDを非表示/違反報告)
りりほん(プロフ) - もー本当に最高です…!!また新しいエピソードが読めるとは思ってなかったのでめちゃくちゃ嬉しいですヾ(●´∇`●)ノ (2018年10月31日 8時) (レス) id: 460225bc41 (このIDを非表示/違反報告)
ちはや(プロフ) - 銃兎さんの鎖骨触りたい (2018年10月24日 22時) (レス) id: 4790ffbdc3 (このIDを非表示/違反報告)
トマトご飯(プロフ) - 最高に好きです……!!!やだもう泣けました!!!感動しました!!!好きです!!!完結おめでとうございました!!! (2018年9月13日 21時) (レス) id: ca4bdb1a57 (このIDを非表示/違反報告)
しあ。(プロフ) - かっくいいなぁ!このこ((( 後何か下っぱぽい方々は明日会いに行くので悪しからず。 (2018年9月13日 11時) (レス) id: 3344a8c17f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:id | 作者ホームページ:
作成日時:2018年8月8日 1時