入間さんが待ってくれない。【 ヒプマイ 】

23話 ページ23

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学校の鞄にスマホまでも取られた。ついでにイヤホンもセットで。

何となく拾ったマイクを渡せって言われて、嫌だーって抵抗したら思いっきり鳩尾殴られて、多分気絶したんだと思う。あわわ…私、何となくで殺 されるとこだった。17年生きてきてこんな衝撃的な出来事初めてだよ。横浜ってやっぱり危ない街だ…。


なんとなんと、Aちゃん拉致られデビューいたしました。ははっ。笑えねー。


布か何かで目が覆われてて周りの景色が見えない。体も紐でくくられてて身動きが取れない。
いや、か弱いJKに何してくれんだー！！ と、さっきから心の中で中指めっちゃ立ててる。マジで。怒りマークもたくさんつけて怒ってる。


埃っぽくて湿っぽい場所…だと思う。視界が遮られているせいで、自分が今いる場所を知る情報を得る感覚は嗅覚と聴覚のみ。私これといった能力も、知識もないから自分が拉致られている場所を特定なんて出来っこないし、そもそもこんな事になってしまった時点で死ぬ運命は確定である。
あーあ。今日の晩御飯何か楽しみにしてたんだけどなぁ…。それと、明日のバイトも。赤ちゃんが久々に来るって女将さんに聞いたから。お食い初めのメニューだから珍しく料理長も張り切ってたし…。


せっかく、昔から憧れていたけど何だか怖くて知らないふりをしていた恋って言葉の意味がわかったかも知れないのに。



てか、さっきのマイクは一体何だったんだろう？ 一見普通のマイクに見えるけど、横浜の街吹き飛ばせるくらいやばい爆弾だったとか？ 多分私のこと殴った人ヤクザさんだと思うし、そういうドラマみたいなことありそー、とか思っちゃったり。




「___い。え！？ でも、お_______で、」


「馬鹿か！！ ___さんの_______」




静かだった部屋？ にドタドタと激しい足音を立てて入ってきた男の人達。何となくわかってたけど、私ここでずーっと一人で転がってたんだ…逆に目が見えなくてよかった…。


人が来たってことは、そろそろ私はこの世とおさらばかな？ 今更になって怖くなっちゃった。目元がじんわりと熱くなって、鼻がツンッとした。あーやばい。泣きそう。何年も泣かなかったからこの感じ久しぶりだな。最後に泣いたのいつだろう…あ、中学の時か。意外とほんの少し前だった。ていうか、私二年前まで中学生だったんだ。高校二年生ってすごく大人な響きだけど、中学を卒業してまだ二年しか経ってないじゃん。

……そっか。まだ私、子供だったんだ。


その時、突然胸倉を掴まれ、ふわりと私の体が浮かんだ。「おい！！」っと耳元で叫ばれて頭がキーンっとした。

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