1話 ページ1
.
「Aちゃーん! まーた入間さん来てるよー!」
「追い返しといてくださーい!」
バイトを初めてはや3ヶ月。時間というものはあっという間に過ぎ去るものなんだなと、年寄りみたいなことを考えるようになってしまった華のJKAちゃんは今日も頭がちょっと可笑しい大人から逃げます。
宴会場としても、普通のお食事が楽しめるこのお店が私のバイト先。店長も女将さんも先輩もみんな優しくて、何かあっても迅速に対応してくれる私の大好きな場所。たとえ学校で嫌なことがあっても、バイト中は楽しく笑顔で働ける。高校一年生にして完璧なバイトを選んだと私は常日頃心の中でガッツポーズをしていた。
していた。
そう、過去形だ。
その原因は私の目の前でにこにこと、誰から見ても"作り笑い"と丸分かりの表情を浮かべる自称警察官のこの男。名前はこいつが何度も自己紹介してきたおかげで覚えてしまったがあえて言わない。なぜならそれによってまた忘れられなくなるからだ。私はそろそろこの男の名前を忘れたい。
「営業妨害で訴えますよ」
「貴方の目の前にいる私が警察官なので通報しても無意味ですよ」
「絶対嘘じゃん。だって本物の警察官は市民の安全と平和を守る為に働いているのに、市民の働きを邪魔する警察官なんて私聞いたことないぞー」
「おやおや…。わざわざお迎えに来てあげた婚約者をそんなふうに言うだなんて」
「誰がこんな怪しげなおっさんと婚約するか」
「んなっ…」
ちなみにおっさんの年齢は29歳だ。16歳の私から見たら完全なるおっさん。こんないい年したおっさんが、女子高生相手に何言ってんだと皆さんお思いでしょう。私もそうだと思います。大変見苦しいと思います。ということで今日もさっさと帰ってもらいます。私の平穏を保つために。
おっさんの体をくるりと回転させて、丁寧に出口へとご案内する。一応私はバイト中。そしてこの人は一応、一応お客様なので仕方がなくて丁寧にやってやる。ああ、なんて私は優しいんでしょうか。この行いを見てくれ神様。そして私の運気をもっと上げてくれ。
「お客様のお帰りでーす。またのご利用お待ちしておりませーん」
「客に対して酷いですね。クレームを入れてやってもいいんですよ?」
「おっとここからは店の敷地外なので貴方はもうお客様じゃありませーん。さっさとお帰りくださーい!!」
無駄に広い背中を押して、無理矢理店から追い出し扉を勢いよく閉めて、入られないように暫く扉の前で待つ私。この一連の行動が慣れてしまい悲しくて涙も出ない。
790人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「ヒプノシスマイク」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
きのこ - 読んで2年?後にまた戻ってきた、きのこです!!この時まだ私高校生だったんですよねー!!懐かしい、、今でも銃兎さんは大好きです!!以上、きのこでした!!з=⊃`∀)⊃ヒョオッ (2020年10月25日 1時) (レス) id: 2a559184c7 (このIDを非表示/違反報告)
りりほん(プロフ) - もー本当に最高です…!!また新しいエピソードが読めるとは思ってなかったのでめちゃくちゃ嬉しいですヾ(●´∇`●)ノ (2018年10月31日 8時) (レス) id: 460225bc41 (このIDを非表示/違反報告)
ちはや(プロフ) - 銃兎さんの鎖骨触りたい (2018年10月24日 22時) (レス) id: 4790ffbdc3 (このIDを非表示/違反報告)
トマトご飯(プロフ) - 最高に好きです……!!!やだもう泣けました!!!感動しました!!!好きです!!!完結おめでとうございました!!! (2018年9月13日 21時) (レス) id: ca4bdb1a57 (このIDを非表示/違反報告)
しあ。(プロフ) - かっくいいなぁ!このこ((( 後何か下っぱぽい方々は明日会いに行くので悪しからず。 (2018年9月13日 11時) (レス) id: 3344a8c17f (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:id | 作者ホームページ:
作成日時:2018年8月8日 1時