済みません。トリップ前に漫画全く読んで無い所為で展開読めない、判らない、で精神持たないんですけど。【文スト】【男主】

【百二十五話】笑顔 ページ9

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俺「……女性は、…俺達が、光を見せたから、見せｯ、…た、所為だって、…」







蚊の鳴くような、弱々しい声で云った。

フルフルと震えている肩を抱いて、必死に自分の中にある感情を抑えているA君の姿が、過去の、友人を失った時の絶望した時の私と重なった。



誰か大切な人が側から消えた時、失った時、人は悲しみ、涙を流す。
其れが普通で、一般常識だ。

彼が流している涙も普通だ。流していいものだ。


けれど____。


蒲団に顔を埋め、自分の肩を抱き、爆発しそうな感情を抑えている彼は弱すぎる。敦君ですらここまでにはならなかった。
矢張り私達とは住む世界が違いすぎた…。

A君の住む現実と、此処は離れすぎている。此処は彼にとって漫画の世界で架空の世界、異世界だ。

そんな世界で知った感情、経験、体験全てが初めてで困惑するのも判らなくもない。


だが今は時間がない。こんな所で止まっていては前に進めない。



少し強引にA君の頭を上げ自分と目線を合わせる。揺れる瞳は、光を失っていた。









太宰「君にとって鏡花ちゃんの失踪は辛い事だ。私も、敦君や国木田君も、探偵社全員同じ気持ちだ。…でもねA君、こんな所で止まっていては、何も始まらない。何も終わらない。君が其れを一番知っているだろう？」


太宰「物語は進まなければ、何も始まらない、終わらないと」


俺「っ…でも、…でもっ……！ 」


太宰「誰も君を責めたりなんかしないよ。光を見せたからなんだ。君は彼女を助けた。彼女を堕としてなんかいない。助けたんだ。胸を張って言うんだ。自分は彼女を助けたんだと」


俺「…俺は、鏡花ちゃんを……助けた…光を見せた事は、間違えじゃない…？ 」


太宰「嗚呼、間違えじゃない。確りするんだ。鏡花ちゃんは死んだなんて私は一言も云っていない。又会える。会った時そんな弱い姿を見られてもいいのかい？ 女性には優しく、カッコよく振る舞うのが君だろう？ 」



ツゥーっと涙が頬を伝い、私の手に落ちた。
ボロボロと涙を流していた泣き虫なA君は消え、私の手に手を添え、笑った。




俺「何ですか其れっ、…ハハ、俺は…別に……フフフ、ハハハッ…」


太宰「フフ、A君は笑った方が良いよ」








そうやって無邪気に笑っていてくれ____ずっと、ずっと。
君には涙は似合わない。

例え苦しい事、辛い事、しんどくて、投げ出したい事があっても、めげずに、涙を流さずに、前を向くんだ。

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