【百三十話】守る理由 ページ15
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寝る宣言をしたA君は余程疲れていたのか直ぐに眠ってしまった。
よしよしと頭を撫でると「んんっ」と顔をしかめ、パシッと手を叩かれてしまった。…無意識だと信じたい。
起こさない様にソッと椅子の上に寝かせ、早速作業に取り掛かった。チラチラとA君の寝顔を見て苦しんでいないか確認しつつ。
既に与謝野先生には時間になる前から触れてもらう様頼んでいる。寶A君が苦しむ事は無い。頭では判っているのに如何しても彼の事が心配で何度も確認してしまう。
谷崎「太宰さん、此処の監視カメラなんですが」
太宰「ン? 何か不具合でも…おっと、其れは後でにしようか」
カツカツっと足音を鳴らし階段を降りてきた社長の姿を見て敦君が「社長」と云った。
全員がいる事を確認してから目を瞑り、「皆聞け」と、口を開いた。
其の声は低く、酷く残酷な事を告げる時の声。社長の声が壁に反響する。
皆んなの視線が社長に集まり、緊張感が漂う。
福沢「嘗て____三日か二日前には戦争を免れる道は在った」
カッと開かれた眼孔にある人が脳裏に浮かんだ。
あー厭だ厭だ。思い出したく無い人を思い出してしまったよ。
福沢「しかしその途も今や閉ざされた。社の鏖殺を謀るマフィア。社の簒奪を目論む組合。この両雄より探偵社を守らねばならぬ。太宰、説明を」
太宰「はあい」
頭の中にある台本を思い出し、ゆっくりとした口調で話し始めた。
太宰「組合は資金力に、マフィアは兵の頭数に優れています。正面からかち合えば探偵社と雖も脳天が弾け飛びます。そこで」
太宰「我々は人員を守勢と攻勢に分割し、奇襲戦法で姑息に抗います。守勢の要は何と云っても此処で与謝野先生を守る事。先生の治癒能力があれば死なない限り全快出来ますからね。嬉しいかは別にして」
宮沢「アハハ」
「其れと」と、グッスリ眠っているA君に視線を移す。
彼も彼で守らなければいけない理由がある。
未だ未だ彼の異能力は無限大だ。底知れぬ力を隠し持っているに違いない。彼が本気を出せば数多の人間を救える力を発揮出来る…と、私は思う。
彼の異能力____【御伽草子】の力を。
太宰「A君の異能力はもう皆んなも知っての通り、単純に云えば願いを叶える異能力です。彼さえ居れば若しもの時、形勢逆転を狙えます。但し異能力効果期間は一日、二十四時間。其れだけを忘れずに」
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瑠中(プロフ) - 貴方様の作品、とても楽しく見させてもらっています!文才とか文才とか文才とか()とにかく!素敵な作品です、これからも更新頑張ってください、待ってます!!! (2017年10月16日 0時) (レス) id: 85b8b74290 (このIDを非表示/違反報告)
世界のバカっこ!(プロフ) - 黒ゴマクリームさん» 返信遅くなってしまい申し訳ありません( ; _ ; )二号くん、私も大好きです。自キャラ大好きマンなので( 笑 )全員唖然としてじっと見てる映像が流れました( 笑 )リクありがとうございます!次の番外編で書かせていただきます! (2017年9月12日 19時) (レス) id: 391940a815 (このIDを非表示/違反報告)
黒ゴマクリーム - とても面白いです!というか、2号君カッコよすぎます///2号君のイケメンエピソードはHeyC'monです!!リクエストなんですが、番外編でみんなで旅館に行ったら風呂で2号君の筋肉&色気がやばい!みたいな感じの見たいです更新頑張ってください! (2017年9月10日 17時) (レス) id: 9fe09aed16 (このIDを非表示/違反報告)
sayakafujino30(プロフ) - いえいえ、焦らずに頑張ってください。これからも作者さんを応援しています。 (2017年8月2日 19時) (レス) id: 16a7c15423 (このIDを非表示/違反報告)
世界のバカっこ!(プロフ) - sayakafujino30さん» 済みません今気づきました( 汗 )ポートマフィアと仲良く…何だかほんわかしそうな話ですね(´∀`)少し検討させていただきます!リクありがとうございます!! (2017年8月2日 19時) (レス) id: 391940a815 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:世界のバカっこ | 作者ホームページ:
作成日時:2017年2月3日 0時