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バタンッと虚しくドアは閉まり、静かだった女二人が「漸と帰ったー」と口を開いた。
俺は今、…柊の事を名前で呼んだ。Aと、無意識に。
部下の名前なンぞ、ハッキリ云ば全員覚えてない。実際に今俺の部屋にいるあの二人の名前も覚えてねぇ。
だが、柊の名前だけは覚えている。
苗字も名前も、漢字も全て…記憶している。
名前を云われれば彼奴の顔が直ぐに頭の中に浮かび、今何処にいるのかと気になる。
部屋を出て行く時柊は泣いていた。
俺が泣かせた。
俺が____柊を泣かせた。
何やってンだよ俺。
泣かせた女を、追いかけずにボォっとドアの前で突っ立って。
女性「中原さぁーん？早くこっち来て話しましょうよー」
女性「あんな子放っておいてー」
俺の顔を覗き込んできた二人。
其れに構わず頭を数回振り、混乱している頭を整理する。
此処で一体俺は如何対応すれば、如何動けばいいンだ。
柊以外の女の部下が泣いても俺は放っていた。弱い奴だと無視していた。
柊は？
最近だろうか。否、もっと前からだろうか…柊だけ、俺の中で��特別な存在��になっていた。彼奴が何かに手こずっていると手助けしたくなり、自分の力で守りたくて、側に…側であの笑顔を、俺の名前を呼ぶあの声を聴いていたい。
手を伸ばせば届く距離にいた柊が、届かない距離に俺が自分から走ってしまった。
走って戻り返して間に合うのか？
もう一度、彼奴を____。
気付いた時には俺は部屋を飛び出し、柊がいるだろう仕事部屋へ足を運んでいた。
独り占めしてぇとか、自分の側にずっと居て欲しいとか、恋とか、愛とか、ワカンねぇ。
初めて持った重い感情は、柊が近くにいる時だけスッと軽くなる。
だが、反対に柊が俺からドンドン離れて行くと比例していき、俺の胸が、感情が、痛い____。
逸早く柊に会いたい。
その一心だった。
角を曲がった時ドンっと誰かにぶつかり、相手が頭を下げる。
「御免なさい！ い、今急いでるので！ 」
何時も丁寧に整えている髪はボサボサで、スーツも少し皺が出来ていて、見た事が無い、焦っている柊だった。
中原「柊！ ？ 」
「！ 中原、…さん」
バッと顔を上げ、俺の顔を確認すると上げた頭を思い切り勢いをつけて下げ、
「中原さん！ 好きです！ 」
そう云った。
胸がフワッと軽くなり、顔が熱を帯び、ドキドキと鼓動がゆっくり早くなっていく。
あぁ
此れが
恋ってやつか。
＜ 中原中也が恋に気付いた時 ＞
終わり
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重力遣い - 楽しく読まさせて頂きました! (2017年8月11日 13時) (
レス) id: 0860c9172b (このIDを非表示/違反報告)
世界のバカっこ！(プロフ) - アリア・パルシェさん» 何百もある文スト作品の中でこんな私の作品が一番好き…ですか?嬉しすぎて塩水が…｡ﾟ(ﾟ´Д｀ﾟ)ﾟ｡テストも次回作も頑張ります!!最後まで読んでいただき有難うございました!! (2017年2月15日 22時) (レス) id: 391940a815 (このIDを非表示/違反報告)
世界のバカっこ！(プロフ) - 未来さん» 中也さんはイケメンなのです(真顔)最後まで読んでいただき有難うございました!! (2017年2月15日 22時) (レス) id: 391940a815 (このIDを非表示/違反報告)
世界のバカっこ！(プロフ) - 冬椿 秋楓さん» 柊ちゃん嬉しくて喜んでます。中也さんと。他の作品も頑張ろうと思います!!最後まで読んでいただき有難うございました!! (2017年2月15日 22時) (レス) id: 391940a815 (このIDを非表示/違反報告)
世界のバカっこ！(プロフ) - 如月白蘭さん» 女の子であればみんな小さくても恋心を持っている。その恋心を揺さぶれて嬉しいです(笑)最後まで読んでいただき有難うございました!! (2017年2月15日 22時) (レス) id: 391940a815 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：id | 作者ホームページ：
作成日時：2017年1月27日 0時
