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あれ…?
式にいる客全員が思った。
視線は新郎の方へ。
何故か其の肩は震えており、私の様に手をギュッと強く握っていた。
A先輩も不安そうに見詰める。
想定外の出来事。
まさに其れだった。
神父が慌ててもう一度目を閉じ、
神父「もう一度聴きます。誠実であることを誓いますか? 」
「誓います」
A先輩だけが答える。
ザワザワと会場がざわつき始める。
新郎新婦の親が顔を見つめ合い首を傾げる。
サプライズか何か…?
バンッッ!!
新婦が登場した時だけ開かれたドアが開く音。
視線は一斉に其の扉に集中する。
一人の金髪の女性がはぁはぁと息を切らし、背後で止めようとしている係員を押し退けズカズカと二人の元へ。
更にざわつく会場。
新郎の顔が真っ青になった。
彼の表情の変化にA先輩の顔色も悪くなる。
女性「此の式は一体何なのよ! ! 」
新郎「厭、あの…」
女性「私との関係は遊びだったの! ? 」
「……如何云う事な、の」
A先輩の絞り出した声は震えていた。
女性は先輩の顔をチラッと見、舌打ちを一つ。
女性「こんな女と私、何方が大事って聞いた時、アンタは何て答えた! ? 」
女性「私って答えたのは嘘なの! ? 」
新郎「違う! 君の方が愛している! ! ……ぁ」
ざわついていた会場は一転し静かになった。
まるで此処は通夜の最中か何かかと勘違いする程。
女性の顔が明るくなり新郎の手を掴む。
厭な予感がしたのかA先輩が動く。
「な、何なんですか貴女は」
女性「此の人に愛された女」
「違います! 此の方は…私の旦那さんになる人です! 」
女性「勘違いも程々にしなさいよ! アンタはね、唯のサイフなの」
「なっ…」
女性の口から出る言葉は真実なのか、唯の嫉妬なのか。
新郎の顔を見れば一発で判った。
A先輩も判った様で「嘘…」と手を口に添え新郎をもう愛しい目では見ず、軽蔑する目で見た。
「私は、…何だったんですか? 」
黙る新郎。
「私は、唯の飾りで、サイフだったんですか! ? 」
新郎「そうだよ! 其れの何が悪いんだよ! 御前みたいな女を好きになる奴は此の世にいねーよ! 」
反射的に躰が動き気付いた時には新郎の頰を殴っていた。
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緋弥希(ひびき)(プロフ) - 最高でした。太宰さんがかっこよすぎて死にそうです・・・世界のバカっ子さんあなたは神ですか!あなた様の作品を三作ほど読みましだがどれも面白かったです! (2017年1月24日 6時) (レス) id: 16e7dfbeaf (このIDを非表示/違反報告)
百鬼レヴェル(プロフ) - 中也さん全力期待 (2017年1月14日 13時) (レス) id: a171e3b181 (このIDを非表示/違反報告)
世界のバカっこ!(プロフ) - 鳴狐(25)さん» ハンカチ片手に続きを読んでくださいね…(笑) (2017年1月9日 0時) (レス) id: 391940a815 (このIDを非表示/違反報告)
世界のバカっこ!(プロフ) - 秋さん» 一気に更新したので完結できましたー(*^^*) (2017年1月9日 0時) (レス) id: 391940a815 (このIDを非表示/違反報告)
鳴狐(25)(プロフ) - 太宰さんが泣く前に私が泣いてしまいました(笑)更新頑張ってください!! (2017年1月8日 23時) (レス) id: d659bfb877 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:世界のバカっこ | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/Haisatuki13/
作成日時:2017年1月6日 22時