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国木田「初めは、御前に黙って此の仕事を敦に任せるつもりだった。…が、」



江戸川「だってさー、太宰に全部任せれば触れるだけで終わる訳じゃん。殺 す必要も捕らえる必要も無いじゃん。」



国木田「ですが…、」



江戸川「他の男の手によって彼女殺 されちゃってもいいの?」









私に問いかけてくる乱歩さんは悪魔だ。

巫山戯るなと殴り飛ばしたい。


けど、乱歩さんの言葉全てが正論すぎて何も口から出ない。

判ってる。
厭に決まってる。


私が此の仕事をするのが一番だって、判っている。


強く握りすぎたからか、手から血が流れる。

ドロッと流れる血液が、ピトリと床に落ちる。









江戸川「此の仕事、するの?しないの?」



太宰「………し、ます。」



江戸川「じゃあ疾く行ったほうがいいよ。恐らく、今頃彼女は軍警に見つかって追われてると思うから。」



太宰「!」









気付いたら私は探偵社を飛び出していた。

乱歩さんに場所を聴かずに、勘で彼女がいそうな場所に走る。


絶対に合っているとは限らない。

私が向かっている先に、私の事を待っている彼女はいないに決まっている。




実らない恋を実らせようと頑張っても、只もがき苦しむだけ。

お互い傷付け合うだけ。





だったら、お互い、一回切りの傷付で此の恋を終わらせようじゃないか。






最悪の形だってAさんも云うだろう。

私だってそう思う。

最低で、最悪な結末だ。



でも、其れしか無いから、選択肢はたった一つしか無いから、其の結末に向かって走るんだ。







我武者羅に路地裏を走り、昔覚えていたルートを必死に思い出す。

マフィア時代散々歩いた場所だ。
大丈夫、覚えている。


軍警が通りそうな場所は此の道。寶、一本外れたこっちの道なら、いる筈っ。





息も切れ、もう全力疾走は出来ない。


けど、見つかった。

近付くとビクリと肩を上げ、此方を振り返る。





軍警に撃たれたのだろうか、着ていた服が血で染まっている。

…胸が痛い。









「おさ、む…さん。お願い、もう、来ないで……全部、知ったでしょ?私は、」



太宰「嗚呼、全部、全部知ったよ。君が殺人犯だって事も。」



「…知られたくなかった。でも、もう仕方ないよね。………後、一回、一回で私は死ぬ。」



太宰「なっ、さっき後二回だと、」



「撃たれて、一回死んだ。でも、何故か直ぐに躰が再生した。」

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のぶめ - こんなに泣ける小説初めて見た… もう幽霊怖いとか言えなくなりそうです〜(号泣) (2018年12月9日 10時) (レス) id: 4aa4850497 (このIDを非表示/違反報告)
Bandage - え、やばい……私はこんなに涙腺が緩かったっけ?(汗)切なすぎる……でも良い作品ですね。 (2018年5月26日 16時) (レス) id: 5043cdfb1a (このIDを非表示/違反報告)
白雪(プロフ) - 涙が止まらないです。占いツクールで号泣したのはこれが初めてです。愛してるっていい言葉だなって思いました。 (2018年3月7日 20時) (レス) id: 20fdbb622f (このIDを非表示/違反報告)
泣き虫*シズク - バカっこさんの作品で何回泣かされるのでしょう(号泣 (2017年2月2日 16時) (レス) id: edceb82775 (このIDを非表示/違反報告)
砂乃騎 紫@トリップ信者募集(プロフ) - 涙が止まりません...。最後の、「いっぱいたべる君が好き」が過去形になったとこでめっちゃ涙が溢れてきました。とてもよかったです! (2017年1月15日 23時) (レス) id: e36516c6c4 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:id | 作者ホームページ:   
作成日時:2016年12月22日 1時

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