7話 ページ7
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生まれた時からこの街に住んでいるからあまり実感は無いが、この時ばかりは「ここって都会なんだな…」と思う。
それは、朝の通勤ラッシュで人に押されて右に左にへと揺れている時だ。
高校に遅刻せずに行くにはこの時間の電車に乗らなければ間に合わないが、今日は異常に人が多いように感じる。車両、いつもと一緒なのになぁ…。
今日は社会人にとって何かある日なのだろうか。それともみんなこの車両に乗りたい気分だったんだろうか。
私には関係ないことだからこれっぽっちも見当がつかないんだけどね。私も大人になったらいずれわかる事だろう。多分。
音楽を聴いて気を紛らわしているが、しんどいものはしんどくて、それプラス隣の女性の香水がキツくて仕方がない。柑橘系の匂いは好きだけど、とにかく隣の人の香水はひたすらに甘くて、こんなもの長時間嗅いでいたら気分が悪くなるよ…。いや、短時間でも中々の効果があるんだけどね。さっきから朝食べたヨーグルトが胃の中で大暴れしている。ちゃんと食べないと昼までもたないけど、ヨーグルトは控えた方がよかっなぁと後悔していると電車が急ブレーキをして体が右に傾き、完全に止まっと同時に勢いよく元の位置に戻ったせいで香水の匂いがすごい女性にぶつかってしまった。
「すみません」
「…チッ」
…あ、苦手なタイプだ。
ちゃんと謝ったのに、めちゃくちゃ嫌そうな顔で私の全身を舐めまわすように見た後、静かに舌打ちをした女性の目は完全に私のことを下に見ていて、すごく怖い。
このまま学校の最寄まで乗り続けるのなんて無理だよ…。女の人もしばらくは降りそうな気配しないし…。
でも、ここで降りて次の電車を待ったら確実に学校に遅れる。それだけは避けたい事態。
絶体絶命は大袈裟だけど、窮地に立ってるっちゃあ立ってる私と、余裕たっぷりで私のことをじりじりと目だけで威圧している女性。同じ女なのに、こうも違うと将来の自分が不安になる。私もこんな人になっちゃうのかな? それだけは、嫌だな…。せめて、香水はもう少し柔らかい匂いがいい…なんてね。
体調的にも精神的にもそろそろ限界を迎えそうと思ったその時、グイッと強い力で腕を掴まれそのままドア付近まで引き摺られ、「大丈夫か?」と目の前にはなぜか二郎先輩がいて、ビックリして大声を上げそうになった。
察した先輩は「電車の中だからな」と自身の唇に人差し指をあててシーっと意地悪く笑った。
その顔にもちろん私はキュンとした。可愛い、と口にしそうになったがなんとか手前で留まれた。
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幽々華(プロフ) - アオハルやー!!!かわええ!!すき! (2021年1月16日 19時) (レス) id: 1e7a7481f9 (このIDを非表示/違反報告)
シオ(プロフ) - 実は前から見てて面白いなと思って何回も読み返してます!!コメントする勇気が無くて今更何ですけど…!!頑張ってください応援してます!!ホントに今更すみません!!コメント失礼しました!! (2020年3月12日 13時) (レス) id: ecf617ad4f (このIDを非表示/違反報告)
マロカン - コメント失礼します! すみません尊いです(( 尊すぎて禿げそうです← これからも更新頑張ってください!続き、楽しみにしてます! コメント失礼しました! (2019年1月3日 23時) (レス) id: 2a1532ad88 (このIDを非表示/違反報告)
XDDDD - わー!!!だめだ。これは高評価を押さざるを得ないよ!!二郎がかわいすぎる、、、!!おうえんしてるよ!!笑 (2019年1月1日 23時) (レス) id: 8d999ddc14 (このIDを非表示/違反報告)
観音坂とよ(プロフ) - おもしろいです!がんばってください! (2018年12月29日 23時) (レス) id: cf15bbc5d2 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:id | 作者ホームページ:
作成日時:2018年11月19日 16時