No.70 ページ22
「…しばらくこうさせろ。」
そう言って私の首元に顔を埋め、そして黙ってしまう。
いつもの様子と違う上司に、引き離すことも出来ず、私はどうしたらいいか分からずに固まっていると
上司は
「絶対に…渡さない。」
と微かにそう呟いた
「え?」
なんの事だと聞き返そうとすると
「…ただの独り言だ。気にするな。」
と頭を撫でられる。
実家から近いし…隣の家の青子ちゃんからほとんど目の前だ。
見つかると面倒だな。
「降谷さん、そろそろ離れてくださ…。」
離れろと言う声を遮る大声
「快斗ー!!忘れ物ー!!!」
聞き覚えのある声が私の後ろから聞こえてくる
抱きつかれていて見れないけど、この声は青子ちゃんしかいない。
私の実家の隣に住んでいる快斗と同い年の幼なじみの中森青子ちゃん。
よく私がいない時なんかは快斗のご飯を作ってくれたりと、二人はまるで夫婦みたいな関係性を築いている。
そして私を快斗と同様にお姉さんとして慕ってくれている。私の大切な人。
あの子にこの事がバレたら…面倒な事になってしまう…!
私は顔を真っ青にして上司から離れようとすると
頭と腰をがっしり捕まれ、引き寄せられて動けなくなる。もがいていた手も完全に行き場をなくして変な形で止まる。そして耳元で
「━━━━━そのまま動くな。」
と囁かれる。
「かーいーとー!!って…あれ…?」
…!!早くこの場から逃げたいのに逃げれないっ…!!
私は思わず目を瞑った
……あれ?覚悟をしていた青子ちゃんの驚く声が聞こえてこない。
「あ?んだよ青子。忘れ物って…。」
「…っわー!!快斗!あ、後で届けるね!!!今出ちゃだめ!!!」
「は???何だよいきなり?」
グイッと身体が青子ちゃんの家の塀に背中を押し付けられ、私を覆いかぶさる様に壁に肘を着いてくる。
「…っ!!」
顔が近いっ…。距離が元々近かったが、正面からの近距離は色々ときつい。私は一瞬青い目と自分の目がバチッと合うが、私はすぐに目を逸らしてしまった。
「快斗!今は出てこないで!!!」
「は?なんかいるのか?…って何もないじゃねーか。」
「あ、あれ…?あの人…?」
「は?人?」
「う、ううん!何でもない!!大した忘れ物じゃないの!明日返すね!!おやすみっ!!」
ベランダの窓を勢いよく閉める音が聞こえ、そして実家のベランダの扉も閉まる音が聞こえた。
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とろろ - いいところで止めないで!続き待ってます! (2023年1月21日 17時) (レス) id: f76190de27 (このIDを非表示/違反報告)
まみこ(プロフ) - 更新待ってます!お願いします!! (2022年9月23日 2時) (レス) @page36 id: 9d3f4398ec (このIDを非表示/違反報告)
亜莉沙(プロフ) - 続きがすごく気になりす…!!是非お願いします!!!! (2022年5月18日 2時) (レス) @page39 id: 7ba5f4dac6 (このIDを非表示/違反報告)
やっち(プロフ) - 続きお願いします! (2022年4月26日 4時) (レス) @page39 id: aabe067d77 (このIDを非表示/違反報告)
W.m(プロフ) - とっても面白いのでもう5周ぐらいしてしまいました。更新楽しみに待ってます! (2022年4月23日 21時) (レス) @page36 id: 63cab791a0 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:アレン | 作成日時:2018年5月31日 4時