No.69 ページ21
「…とりあえず離してくれませんか。」
人通り少ない…今は人がいないと言えど、公共の場だ。私は離れようとするが、上司は目を細めて
「こんな時間に女性一人を歩かせる訳には行かない。送っていく。」
と、何とも嘘臭い安室透の笑いを浮かべてそう言った。
「…えっと…。」
色々と不味い展開だな。私は思わず苦い顔をしてしまう。
「…なんだ。俺に実家を知られて不味い理由でもあるのか?」
とそんな事を言う。何か探って来ている。直感でそう感じた
「いや…そういう訳ではないですが…。」
「ならいいよな。」
よし、行くかと言って私の手を繋いだ。
逃げ場…無しか。
仕方なく実家への道を私は誘導する様に歩き始めた。
…とりあえずこの事快斗に連絡しないと…。
そう思い、スマホの電源を入れてLINEを起動させ、快斗に短い文で、そっちに上司行くから気をつけろと送った。
「…Aの実家には今御両親はいるのか?」
歩きながらいきなりそう聞かれ、私は少し言葉を詰まらせる
「…いや、私には本当の両親はいないんです。」
「…!」
「二人とも他界しています。親戚の家に養子として育てて貰いました。その親戚の親2人も父は他界、母は海外で生活をしていて、今実家にいるのは弟だけです。」
これはどうせバレるだろうし話しておくか。
「…そうか。…すまないな。」
少し申し訳なさそうな顔をする上司。そんな顔もするんだなと客観的に顔を見ていると
「…何だよ。」
と睨まれる。
「…いや。珍しい顔をされているなと思いまして。」
「…お前なぁ…。」
そう言って私から顔を背けた
「…ポアロの時といい、俺を怒らせる天才だな。お前は。」
目だけこちらを見て睨みつけてくる。やっぱり根に持っているな
「…いつもからかわれているので反撃のいい機会かと思いまして。」
そう言って上司を見てニコッと笑うと、上司は私の顔を見てハハッと笑い
「…ま、明日お前を守りきったらじっくり時間をかけて躾し直してやるから今は保留だな。」
━━━━━覚悟しとけ。A。
と、私の耳元に顔を近づけて囁く。耳に息がかかり、思わず驚きで変な声を出す
その様子を見た上司は何を思ったか、いきなり立ち止まり、私を上司の方を向かせ、正面からそっと抱きついてきた
「なっ…!何してっ…!?」
「…しばらくこうさせろ。」
そう言って私の首元に顔を埋め、そして黙ってしまう。
私はどうしたらいいか分からずに固まった
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とろろ - いいところで止めないで!続き待ってます! (2023年1月21日 17時) (レス) id: f76190de27 (このIDを非表示/違反報告)
まみこ(プロフ) - 更新待ってます!お願いします!! (2022年9月23日 2時) (レス) @page36 id: 9d3f4398ec (このIDを非表示/違反報告)
亜莉沙(プロフ) - 続きがすごく気になりす…!!是非お願いします!!!! (2022年5月18日 2時) (レス) @page39 id: 7ba5f4dac6 (このIDを非表示/違反報告)
やっち(プロフ) - 続きお願いします! (2022年4月26日 4時) (レス) @page39 id: aabe067d77 (このIDを非表示/違反報告)
W.m(プロフ) - とっても面白いのでもう5周ぐらいしてしまいました。更新楽しみに待ってます! (2022年4月23日 21時) (レス) @page36 id: 63cab791a0 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:アレン | 作成日時:2018年5月31日 4時