23話 加筆修正 ページ25
「…君が二十歳になるまで私が生きているとは限らない。というよりそこまで長生きする気はない。呑めないなら一緒に談笑に付き合って欲しいのだよ」
「…私でいいんですか？」
きょと、と不思議に見つめる私。勿論。と彼は
「美人との会話はお酒の相性にぴったりだからね」
…成る程。慥かに彼は天性の女誑しだ。
晩酌の後。
流石に眠くなってしまったので重い目をこすりながら太宰さんに帰るよう促した。
「帰るの面倒だからこのままここで寝ていい？」と聞いてきたので、勿論いいわけがない私は、がんばって彼の背中をぐいぐいと押して退去してもらった。
部屋が隣なのだからこの程度で面倒がらないでほしい。
隣の玄関に入った途端、太宰さんは倒れ込むように廊下で寝ようとしていた。
「風邪ひきますよ」と声をかけても「大丈夫〜」と空返事ばかり。見かねた私は勝手に部屋に入り、押し入れから蒲団を引き摺り出した。
「君って世話焼きだねえ」
「…人のこと云えませんよ」
私を世話焼きだなんて云う人君が初めてだよ。とへらりと笑っていた。
寮や入社手続き、試験について沢山考えてくれたのなら十分世話焼きだと思う。少なくとも宿木がなかった私にとっては。
蒲団と枕の皺を整えて部屋を後にする。
「…おやすみなさい、また明日」
バタン、と戸を閉めた音が木霊した。
_____
「おーきーろー」
「待って〜あと五分」
「そんな事さっきも云って起きて無いですよね？」
只今午前七時半。
今私は太宰さんの部屋の中に居る。
如何やって入ったかと云うと____ピッキングじゃないよ。そんな大層な技術は生憎持ち合わせて無い。
部屋の鍵が空いていたのだ。
此の人には防犯という言葉が無いのだろうか。
まァ兎も角、此の人は何をしても起きない。
頰を抓っても冷水をかけても全く起きる気配が無い。
否、起きて居るのだが躰を起こそうとしない。
かくなる上は…
バサァ
蒲団を剥ぎ取った。
「Aちゃん 寒いよ。追い剥ぎ…」
「だったら起きる というより何で冷水ぶっかけても動じなかった人が蒲団を剥ぎ取るので寒いと始めて感じるんですか」
「何時も入水で慣れているからね」
「成る程…じゃなくて早く起きる」
納得してしまった。
危うく太宰さんに丸め込まれるところだった。
それにそんなに入水に慣れていたら肺活量とか結構凄いのだろうか。
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迷いの犬の文豪迷探偵 - 阿吽さん» お も し ろ す ぎ……！？有難うございます！とても嬉しいです！更新頑張りますね！ (2018年1月26日 17時) (
レス) id: 91010c623c (このIDを非表示/違反報告)
阿吽(プロフ) - 面白すぎます……；；更新ガンバッテください！！！ (2018年1月25日 16時) (レス) id: de623f02c9 (このIDを非表示/違反報告)
Ｒ(プロフ) - 迷いの犬の文豪迷探偵さん» 確かにそうですねww (2017年12月17日 17時) (レス) id: 0a6b6d9361 (このIDを非表示/違反報告)
迷いの犬の文豪迷探偵 - Ｒさん» なんやかんやいって変人の知り合いを持つ夢主が一番変人…？ (2017年12月17日 16時) (レス) id: 91010c623c (このIDを非表示/違反報告)
Ｒ(プロフ) - 迷いの犬の文豪迷探偵さん» 『100歳』じゃなくて『100歳越え』なんですねww 『後はー』ってまだいるんですかww太宰さんより変人だと思うんですけどw (2017年12月17日 5時) (レス) id: 0a6b6d9361 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：迷たんてー | 作成日時：2017年10月16日 16時
