9話 加筆修正 ページ11
遠くの方は漆黒の
もうそんなに時間が経っていたのか。
もうすぐ夜になろうとしているので帰る準備をしている人がちらほら見える。
「そうだ、小娘 お前 今日の夕食代は有るのか?」
国木田さんがキャスター付きの椅子を廻し、私に問いを投げかける。一文なしなので当然のごとくない。この世界に来た時に持ってきたものは自分の服のみだ。
「なんだ、飯代も無いのか?ならこれを食え」
すると国木田さんは机の上にあるレジ袋を手にし、
私に やる と云った。
「此れは…?」
「パンダまんだ。」
「ぱんだ…?」
パンダまんとは。
横浜中華街名物のスイーツである。その名の通り見た目もかわいらしく味もおいしい。
国木田さんの至極真面目な顔でぱんだまんと云った事実が面白くて思わず笑みがこぼれかけた。
「胡麻団子もあるぞ」
「ごまだんご」
もう一つ提示されたものもスイーツだ。それも中華街の。
なぜ甘い物をチョイスしたのだろうか。実は甘党だったのだろうか。意外なところを知ったな。
「云っておくが俺が購ったわけではない。依頼人からの差し入れのひとつだ」
「あ、なるほど」
なんだ、国木田さんが購ったわけではないのか。
お店でパンダまんひとつくださいと云う彼を見てみたかったのだが。ありがたく頂戴して、礼を云った。
信用した訳ではないと云いつつも優しいのだ。
「あ、Aちゃん夕御飯貰ったの?じゃあ社員寮に行こっか。まだ正式な手続きはしてないけど最後の一室使っていいって了承くれたよ」
何処からか出てきた太宰さん。あっという間に寝床が確保できて、とんとん拍子に物事が進むので
「もう承諾貰ったんですか?」
「うん。流石私!仕事が早い!褒めてくれても善いのだよ?」
「え?えーっと、さ、流石!本当に職場と住居地を用意できるなんてすごい!」
「ふふん、そうだろう?てな訳で先帰るね〜」
「ちょ、おい待て!」
わりかし適当な褒めだった気がするが、満更でもない表情をしてくれた。そして流れるように帰宅する展開になる。
太宰さんが私の腕を掴み、
お先に〜、と手をひらひらと振った。
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迷いの犬の文豪迷探偵 - 阿吽さん» お も し ろ す ぎ……!?有難うございます!とても嬉しいです!更新頑張りますね! (2018年1月26日 17時) (レス) id: 91010c623c (このIDを非表示/違反報告)
阿吽(プロフ) - 面白すぎます……;;更新ガンバッテください!!! (2018年1月25日 16時) (レス) id: de623f02c9 (このIDを非表示/違反報告)
R(プロフ) - 迷いの犬の文豪迷探偵さん» 確かにそうですねww (2017年12月17日 17時) (レス) id: 0a6b6d9361 (このIDを非表示/違反報告)
迷いの犬の文豪迷探偵 - Rさん» なんやかんやいって変人の知り合いを持つ夢主が一番変人…? (2017年12月17日 16時) (レス) id: 91010c623c (このIDを非表示/違反報告)
R(プロフ) - 迷いの犬の文豪迷探偵さん» 『100歳』じゃなくて『100歳越え』なんですねww 『後はー』ってまだいるんですかww太宰さんより変人だと思うんですけどw (2017年12月17日 5時) (レス) id: 0a6b6d9361 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:迷たんてー | 作成日時:2017年10月16日 16時