72.ストーカー ページ22
『趣味悪いよ、おっさん』
そう一声かければ、
まさかバレているとは思いもしなかったのか、
後ろの気配がびくついた。
こう見えても私、
あの天下のロイ・マスタング大佐と一緒に暮らしてたんだからね？
軍人ではないから訓練はしてないけど、
ある程度の護身術ぐらいは教えて貰ったし、
人の気配に関しては人一倍敏感な方だ。
「げへへ…お姉さん、鋭いんですな」
『
私、向いてないんで』
「安心してくだせぇ、そんなんじゃない」
これは頑張って振り切るか何かしないと
引いてくれなさそうだな…
Aは大きくため息をついて振り返った。
視界に映るのは、狭い路地の影に隠れている
フードを被った小柄な男のみで、
どうやら複数で来ているわけじゃないらしい。
『じゃあ何ですか』
「あんた、さっき大きな鎧のヤツと歩いてただろ」
＿＿＿＿そっちか。
『……だから何？』
「俺たちはあの鎧の兄ちゃんに用があんだよ」
『あっそ。
生憎だけど、彼は今忙しいみたいだから＿＿』
無意識に声が低くなる。
『＿＿関わらないでくれます？』
さて、どうしようか。
旅に出る前、ロイに言われた言葉が頭をよぎる。
“A、一つだけ忠告だ。
あの兄弟は派手な行動と見た目のせいで、
色々な人間を惹き付ける。
＿＿＿勿論、
兄弟に危害を加えようとする者もだ。
だから、不用意に情報をバラすな。
そして、常に周りには気をつけろ”
まぁ、言うまでもないだろうけどな、
そう言って笑う彼の瞳は、
不安げだったのをよく覚えている。
ロイ、さんきゅ。
そう心の中で呟き、目の前の相手を睨む。
「そんな怖い目しないでくれよぉ、お姉さん」
『じゃあ大人しく帰ってくれます？』
「そうはいかないですぜ」
『…でしょうね』
じり、とお互いに身構える。
沈黙が間を制した、その時。
「おいビドー、何してんだ」
どこからともなく聞こえた、新しい声。
まずい、2対1はさすがにまずい。
「あぁ、ちょっと兄弟の知り合いっぽいのを見つけましてね…」
「知り合いだぁ？」
すとっ
どこから飛び降りてきたのか、
とても軽快な着地音と共に現れたのは、
黒髪短髪、腰に剣を携えた男だった。
「女じゃねぇか。
あいつら女なんて連れてやがったのか」
ふーん、と興味なさげにAを見たその男は、しばらくしてこちらへと足を踏み出した。
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名無し20471号 - 続きが読みたいです；； (1月31日 12時) (
レス) id: 736ab31a01 (このIDを非表示/違反報告)
Mira(プロフ) - 課題しないとなのにずっと読んでしまった……。更新いつまでも待ってます！！ (2023年1月26日 23時) (レス) @page42 id: 74a2903c73 (このIDを非表示/違反報告)
戦犯のラーク(プロフ) - 初めてコメントを残させていただきます。とっても最高に面白い作品で続きが楽しみになりました。もし更新があったらすぐ飛んできます。最高の作品をありがとう。 (2022年8月19日 1時) (レス) @page42 id: 327ba37996 (このIDを非表示/違反報告)
にき(プロフ) - 面白すぎてハゲそう。何回も読み返してる笑 (2022年6月25日 21時) (レス) @page42 id: 219a3eddad (このIDを非表示/違反報告)
あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ" - どうして…久々に良作品に出逢えたと思ったら…どうして更新が停止されているんだあ"あ"あ"あ"あ"あ"あ" (2022年5月29日 14時) (レス) @page42 id: 1b12660de2 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ぶらぴ | 作成日時：2018年7月30日 15時
