似たもの同士なふたり（石川透）

ふたりと事件4 ページ17

〜Aside〜

未希さん始め先輩方が色々対応してくださったものの、ストーカー行為はエスカレートするばかり。

一応出勤はしているものの外回りを代わってもらったり外せない物は誰かに同伴してもらったりと周りに迷惑をかけるのが申し訳なく、事業所としてもこれ以上は危険ではないかと警察への相談を上司から勧められた。
勤務が終わり、これから警察署へ被害届を出しに行くつもりだ。

でも、警察署に向かう途中で何かされたら？
被害届を出したと知られて今度はもっと怖い目にあったら？


嫌な想像がどんどん浮かんできて、行かなきゃ行けないことはわかっているものの中々足を踏み出せない。

未希さんが付き添いを申し出てくれて思わずそのお言葉に甘えてしまいたくなったけれど、万が一巻き込んでしまうなんて事が起きないように丁重にお断りした。

自分のデスクで何とはなしに私用のスマホを弄っていると、目に入ったのは交換したばかりの透くんの連絡先。


「透くん…」


自分の目の前のことでいっぱいいっぱいで、これから向かう場所が透くんの職場だなんてすっかり忘れていた。頼れる刑事さんであり、頭をよぎった優しい笑顔に思わずそのまま通話ボタンを押しそうになるが、激務だと聞いているお仕事の邪魔になってはいけないと思い直して画面を暗くしてから机に伏せた。

本当に、そろそろ行かなきゃ。重いため息をひとつ落として立ち上がったとき、さっきしまったばかりのスマホが着信を知らせながら明るく光っていた。

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