Sakuya Sakuma.R ページ16
『五月雨』
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桜が散り始めたあの頃。
例えるなら私は悲観的だった。何事も悲しく捉えてしまう1つの病気にかかってしまったみたいな。そして、いつ頃からか泣けなくなった。
分からない、どうして私の目からあの涙が出なくなってしまったのか。
「Aちゃん」
「…なに」
「泣き方を忘れそうな時はオレが五月雨になってあげる!」
今思えば私は五月雨が好きだった。
皆、あんまり好きじゃないなんて言うけど、私は自分が涙を流す代わりに五月雨が涙の代わりなような気がして、好きだった。
「別に咲也に関係ないでしょ、私が泣けなくなったのは自分のせいだから」
彼は優しすぎるのだ。今まで親戚の元を転々としてるのにどうしてそんなに笑顔でいれて優しくできるのか私にとっては謎でしょうがなかった。
それに、咲也が五月雨になるなんて不可能だから。人間は雨には、なれないでしょ。
「じゃあせめて約束させてっ。
Aちゃんが泣けない時はオレが五月雨になって守ってあげる!」
そうやって屈託のない笑みで私を見るから、どうしようもなくなる。
私に向かって小指を差し出す咲也にしょうがないとでも言うように私も恐る恐る小指を重ねた。
「…約束、だからね」
「!!
うんっ、約束!」
___
そんな約束をして早数年。私達は高校生になった。咲也は家から離れてMANKAI寮に住んでいた。
学校は一緒でもクラスも違うし、会うことも少なくなっていった。
「っと…悪ぃ、余所見してた」
「私の方こそ、すいません」
考え事をしながら廊下を歩いているとぶつかったのは、摂津くん。
確かヤンキーだったことで有名、それにモテるらしい。
すぐさまその場を去ろうとしたら、手首を掴まれた。
「な、なに」
「いや…、名前」
「は?」
「名前、教えろ」
「………AA」
一体なんなんだこの人。
というか、視線が痛いから手を離して欲しい。
「万里くんっ、何して、Aちゃん…?」
「………さくや、」
小さく名前を呟いた。
あぁ、油断しちゃった。あえて会わないようにしていたのに。
すぐさま手を振り切って廊下を走って、咲也の目から私の姿を消した。
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はゆー(プロフ) - 有害君さん» リクエストありがとうございます(;;)!!夢主ちゃん攻めとても尊いです妄想が滾りました,,,ふふ(*´`)遅くなるとは思いますが必ず書かせて頂きますのでお待ちいただけると幸いです...!これからも『恋のサンプル』をよろしくお願いいたします(_ _*)!! (2019年9月4日 20時) (レス) id: d068591bfd (このIDを非表示/違反報告)
有害君 - ←(その時の様子もお願いします!) お話全て夢主→攻め、キャラ→受けでお願いします!!(あれ、今更だけど全部似たような内容だ・・・まあいっか!)← (2019年9月1日 1時) (レス) id: ee0db65bd8 (このIDを非表示/違反報告)
有害君 - あざみ・・・皆で王様ゲームをしているとき【○番(夢主)は□番(あざみ)に壁ドンから何でもいいからイチャついて!】というお題で夢主があざみに何度もDキスなどをしてあざみがぶっ倒れてしばらくの間気まずくなる(?)話 ※続きます (2019年9月1日 1時) (レス) id: ee0db65bd8 (このIDを非表示/違反報告)
有害君 - 万里・・・ゲームで負けた方は勝った人の言うことを聞くというので、夢主が勝って万里を好き放題に色々(キスなど)して万里が照れまくる話 一成・・・夢主が一成に股ドンをしてそこから色々して一成が照れまくる話 ※続きます! (2019年9月1日 1時) (レス) id: ee0db65bd8 (このIDを非表示/違反報告)
有害君 - リクエストで一気に3つ出しちゃいますけどいいですか!万里、一成、あざみのお話を少し長めでお願いします!!書く方はどちらでもかまいません!(内容は次のコメントで!) (2019年9月1日 0時) (レス) id: ee0db65bd8 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:はゆろい x他1人 | 作成日時:2019年5月1日 18時