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故郷であるアローラ地方のウラウラ島に到着したユリは、ある人の所に向かっていた。
ユリの大切な家族の様な存在であるあの人の所へだ。
今は島キングをしていると聞いたが、あのぐうたらなオヤジに勤まって居るのだろうか、などと考えながらポータウン付近に建設されている交番にやって来た。
交番の扉の前に立ってどんな顔をするだろうかなど思いながら勢いよく扉を開けて入った。
「クチナシさーん!ただいまーー!!」
「!…その声はユリか…」
「そう、やっと修行が終わったんだ」
「そうか…頑張ったな。」
「うん、ありがとう。」
そう言って嬉しそうにユリの頭をくしゃっと撫でて微笑むクチナシを見て、ユリも嬉しそうに笑いながら返事を返した。
「あ…そうだクチナシさん」
「んー?なんだ」
「あの人って何処にいるのかなぁ…知ってる?」
「……ん、ああ……知ってるっちゃあ、知ってるが…合わない方がいいんじゃないのかねぇ……」
「え…?どうして……」
確かにクチナシさんにも会いたかったが、ユリの中には1番に会いたい人ではなかった。
その人の居場所を知らないユリはあの人の事を知っているクチナシに聞いたのだが、期待していた返事と違い、何かあったのかと問うと「まぁ、ユリがいない間にちょっとだけね、場所は教えてやるよ、でもがっかりするんじゃないよ」と返事が返ってきた。
また会えるという嬉しさと裏腹に会ってしまうと何かが変わってしまうような気がしてならなかったユリは不安に押しつぶされそうだった。
「ん、分かったよ。ありがとうクチナシさん」
「おうよ、気をつけてな」
「うん、また会いに来るね」
ユリはクチナシに別れを告げたあと、目的の人物がいる、ポータウンの入口にやってきた。
この扉の先にあの人が居るのに怖くてたまらないユリの感情を感じ取ってか、腰に付いているモンスターボールがカタリ…と揺れた。
「うん、大丈夫だよ、大丈夫。きっと彼は私の事を忘れたりなんかしてないよね……いま、会いに行くよ……”グズマ”…」
そしてポータウンの入口の扉を開けた。
NEXT…
2019/07/10 翡翠
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作者名:水無月翡翠 | 作成日時:2019年7月9日 8時