検索窓
今日:2 hit、昨日:3 hit、合計:31,993 hit

噂のあの子は、ナツカドさん。【7】 ページ22

·



「……え…」

『私さ、この世に残ってるのさ、…未練があったんだよね。』


夕焼けを見つめながら、静かな声で話す。


『その未練がね、わかったんだよ。』


『私は、“研磨が好きだった”』


その言葉に、目を見開く。


『“研磨と過ごしたかった”』


それが、Aの未練。
ここに残ってしまった理由。


『生きてた頃から、研磨のこと好きだったよ。
 全く接点なかったけどね。』


そう言って苦笑するA。


『……そろそろ行かないと。』


『大好きだったよ、研磨。さよなら__』


…やだ。

思わずAに手を伸ばす。
触れないのに。
体温も、感じられないのに。

分かっているのに。俺はとっくに彼女に溺れているから。


触れなかった腕を掴む。
やっと触れた腕を引っ張る。


驚いたAの顔。
それすら呑み込む想いで、Aの唇を奪った。


なんで触れるのか分からない。
でも、このまま終わるなんて嫌だから、


「…最後くらい、笑ってよ」


最初で最後に触れた唇を離す。

こんなの俺らしくないけど、




「大好き“だった”じゃなくて、“大好き”って、言い切ってよ。」




Aが大好きだから。


Aは真っ赤になった顔で、大粒の涙を流した顔で、口角を上げる。


『け、んま…』

「…うん」


少しずつAが消えていく。


『…ありがとうっ、大好きだよッ……!』



さよなら。


Aは、笑顔で光を纏って姿を消した。


俺一人の図書室。


「……俺も、大好きだよ…」


俺も笑顔で、空に広がるオレンジ色の絶景に呟いた。





〜噂のあの子は、ナツカドさん。完結〜



·

続く  (更新停止中) お気に入り登録で更新通知を受け取ろう

←噂のあの子は、ナツカドさん。【6】



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.8/10 (54 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
58人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

ねじる(仮) - とりあえず今はコメントで報告します。僕自身、本当にショックで少し病みかけていました。長い間放ったらかしにしてしまい、すみませんでした。活動についてはまだ考えたいので、やはり待たせてしまいます。本当に申し訳ございませんでした。 (2019年7月31日 11時) (レス) id: 2befed96be (このIDを非表示/違反報告)
ねじる(仮) - 今リクエストを待ってくださっている方、話の更新を楽しみにしてくださっている方、本当に申し訳ありません。修理に出すとデータが消えてしまうかも、と言われました。スマホでログインし直し、もう一度活動をやり直す方法もありますが、それは只今考え中です。 (2019年7月31日 11時) (レス) id: 2befed96be (このIDを非表示/違反報告)
ねじる(仮) - お久しぶりです。作者のねじるです。突然ですが、僕が使っていたタブレットの充電が出来なくなり、話が更新出来ない状況になっています。いくつかパスワードを忘れてしまった物もあり、本当に申し訳ないです。今スマホでこの文を書いています。 (2019年7月31日 9時) (レス) id: 2befed96be (このIDを非表示/違反報告)
ねじる(プロフ) - おっ、覚えてます!!マジですか!?神だなんてそんな…!高評価ありがとうございます!! (2019年5月12日 10時) (レス) id: b17a466711 (このIDを非表示/違反報告)
春たけのこ - こんにちは!関連から来ました〜!覚えていてくれてますか?笑 最高でした!もう神ですか…?ってなるくらいでした笑 高評価、ポチッとな。 (2019年5月12日 9時) (レス) id: b3606a02e1 (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:ねじる | 作成日時:2019年3月11日 19時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。