永遠に。もう少し。 ページ4
カチャ
ホチキスで止める音が妙に大きく響く。
横目で赤葦くんをチラッと見る。
『(……かっこいいなぁ)』
赤葦「雛鶴さん」
『は、はい！』
突然名前呼ばれたから、声裏返ってしまったよ。
赤葦「手伝ってもらっちゃってごめんね」
『……全然、大丈夫だよ』
私は特に予定があるわけじゃないし、
むしろ赤葦くんが、、、
赤葦「雛鶴さんって部活とか入ってるの？」
『いや、入ってないよ。赤葦くんは？』
知ってるけど、話したいからわざと知らない振りをする。
赤葦「バレー部だよ」
『……かっこいいね』
そういうとまた彼は少し表情を和らげて、
「そうかな、ありがとう」
って言う。
その度に私の心の奥の方がギュッってして、
ああ、やっぱ好きだなあって思ってしまう。
時計の針が動く音と2人の呼吸だけが聞こえる。
隣に赤葦くんがいる。
それだけで世界がきらめき始める。
この夏が永遠に続けばいい。
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赤葦side
隣に座るのは今日、初めて隣の席になった雛鶴さん。
前から知っていたけど。
地味なわけではないが、ずっとはしゃいでいるような人でもない。
気になることとすれば、授業中ずっと窓の方を見ていることだろうか。
今日だってずっと窓の方を見続けていた。
チラッ
横目で彼女を見る。
彼女は資料をまとめて、ホチキスで止めている。
肌、白いな……。
青のペンキをぶっかけたような空の中に座る彼女に呼吸を奪われる。
赤葦「(綺麗だな……)」
よく美しい女性TOP10とか、綺麗な顔ランキングだとかをテレビでやっていたりするが、
今、世界で1番美しいのは彼女だと俺は思った。
赤葦「(…………俺気持ち悪)」
資料に目を落とす。
早く部活行かないと……。
シャーペンを握る力が少し強くなる。
隣に雛鶴さんがいる。
世界がほんの少し、明るくなる。
部活に行かなければいけない。
でも、もう少し。
この夏が終わらないで欲しい。
そう願ってしまう。
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作者名：ただのぶかつ | 作成日時：2020年5月28日 23時
