青と反射 ページ1
綺麗な長い指。
白い肌。
少しくせっ毛の黒髪。
周りの同年代とは少し違う落ち着いた雰囲気。
はあ〜〜〜〜〜〜〜〜ッ
かっこよすぎる。死にそう。
「昨日のやつ見た？！」
「見た見た！！めっちゃ面白かったよね〜」
「Aは見た？」
『見た、面白かったね』
目線を変えずに返事をする。
あ、今ワイシャツパタパタしてる。
なにあれ、色気やばい。
「………A、見すぎ」
『…………そんなに？』
友人が勢いよく首を縦に振る。
「そんなに好きなら告ればいいのに」
そんなの出来るわけないでしょうが。
彼の方に視線を戻すとクラスの男子と話していた。
あいつらあんなに軽々と神と話せるとか、
強しくんかよ。
チャイムがなる。
先生が扉を開ける音。
蝉がうるさく鳴く。
窓から見える空はあまりにも青すぎる。
夏に、飲み込まれていく。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
授業中、グラウンドで体育をしている他クラスの方を見つめる。
まあ実際は窓に映る赤葦くんを見てたんだけど。
トントン
後ろから手紙が回ってくる。
ああ、回せってことね。
そこには可愛らしい字で丁寧に書かれた
【赤葦くん】。
『ぇ』
あんたが赤葦くんになんか用があるわけ？って言いたい。
でも、私は赤葦くんの彼女でもなんでもないから何も言えない。
赤葦くんの方に上手く渡るように前に手紙を渡す。
チラッと後ろの女子を見る。
彼女は凛とした顔で一点を見つめている。
視線の先には、赤葦くん。
『………小娘め』
ボソリと呟いた。それと同時に、手紙を回す勇気なんてない自分が酷く小さく見えてしまった。
悲し。
その後、結局手紙がちゃんと赤葦くんの手に渡ったのかは知らないけど、赤葦くんがこっちに振り返ることはなかった。
赤葦くんがモテるのは知ってるけどさあ。
心のモヤモヤが広がるのを止めない。
というか、今の私めちゃくちゃキモくない？？？
さすがにちょっとキモいと自覚。
挨拶ができる仲にはなれるように頑張ろう。
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作者名：ただのぶかつ | 作成日時：2020年5月28日 23時
