【ハイキュー!! 】能ある鷹は爪を隠す＿ 01【男主】 (ページ12)

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第４話：運命の日 ( 1 / 3 ) ページ12

【櫻井視点】

「怖くないですか、自分と同じポジションに天才が居るのって」

「んー…正直に言えば怖いよ。俺が持ってないモノを影山は持ってて…尚且つ、どんなに手を伸ばしても、届かない所に影山(アイツ)は居るんだなあって思うんだ」

あっという間に3日目となる木曜日の朝。まだ田中の姿は見えずに体育館に居るのは後輩ふたり合わせて4人だけ。パスをするふたりを横目にスガ先輩にそう声を掛ければ考える素振りを見せた後、そう口にした。

因みに初日の火曜、それから水曜日と昼間も日向の練習に付き合っているらしいスガ先輩。( そのお陰か多少動きはスムーズに )

「Aだって小さい頃からバレーに関しては天才が傍に居たろ？」

「あー…でも、俺はアイツに誘われて始めたクチですし、スタートが違ったから仕方が無いかなって思ってた頃も有りますよ。……けど、今はレシーブ力は適わなずとも、他のプレーで負ける気は微塵も無いんで」

「へえー、はっきり言えるのは格好良いな」

「そんな事無いです。…そう言えばふたり、一回もボール落としてないですよね？」

「……言われれば」

もうパスを始めて5分以上は経っているのに、ボールを落とすような様子が全く見られないふたり。

( 何方かと言えば、手だけ動かす影山に日向が喰らい付いて行ってる感じだけど ) ( けど裏を返せば影山が動かずに済むのは、日向がどんな体勢でも彼の元に返せてると言う意味で )

「 ── 食パンを銜えた美少女と、ドーーン☆つって、…え、」

巫山戯た歌声が後ろから聞こえたかと思えば、扉から顔を出した田中。目の前で繰り広げられる日向と影山のやり取りに、驚いたようにどのくらいやってんスか？と口にする。

「俺達が来てから15分は経ってる」

「連続スか」

「うん」

── 拙い技術を補う、圧倒的運動センス。でも

「そろそろ、限界だろ！このくらいで ―― 」

「まだっ、ボール、落としてない！！！」

「！」

「うわっ影山、性格悪っ」

強打を放った影山の言葉を遮るように叫ぶ日向。ぴくりと反応した影山は態とか否か、疲れている筈の状況では諦めてしまいそうな程に後ろへ飛ばす。

「…日向の運動神経…中学ん時から凄いよな。…でも、運動神経(それ)とは別に日向には〝勝利にしがみつく力〟が有る気がする」

…恵まれた…優れた身体能力…

そう言うのとは別の武器。

「苦しい。もう止まってしまいたい」

そう思った瞬間からの、

一歩。

「 ── っ、上がった」

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