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運命の日 ( 2 / 3 ) ページ13

「スゲーぞ、日向ァ!!」


多少不格好でも、踏み出した一歩から上へと上がったボール。それは綺麗な弧を描いて、ネット際に立ったままの影山と返る。


「!? トス…!?」


「影山がトスを上げた…!?」


何やら思案した様子も見られたものの、相変わらず静かで打ち易そうな綺麗なトスを上げた影山。傍から聞けばスガ先輩と田中の驚きようは失礼な気もするが、今回は俺も同じで。( あんだけ嫌がってたのに )


「 ── でも、今の日向にスパイクを打つ気力なんて…」


よろりと立ち上がった日向は人一倍動いている分、体力の消耗も激しい筈で。苦しそうに肩で息をする日向に大丈夫かと見ていれば ──


「 ── !!」


「………変なやつ」


── 彼は笑っていた。


「相変わらず良く跳ぶな〜っ」


「あんな状態から打ちやがった…しかも、あんな笑顔で」


「……」


「スガ先輩?」


「…── セッターからのトスが上がる…俺達にはごく普通のことが、日向には特別なことなんだろうな」


日向を見ながら何か考えていた様子のスガ先輩に声を掛ければ、ハッとした後にそう口にした。( 昼練の時に何か話したって事かな )


「…おい」


「?」


「土曜日、勝つぞ」


膝を着いて苦しそうに息する日向に立ったまま、声を掛けた影山。( この様子なら、勝てる可能性も有るかもしれない ) ( ── と、その前に )


「……日向、袋」


「う、あ、ありがとうございま……!」


余りにも苦しそうな日向に袋を渡して背を向けた瞬間、明らかにゲロった様子。( 体育館に吐かれなくて良かったと言うべきなのか ) ( 直接見なくて良かったと言うべきなのか… )


田中に水を渡され、外に連れて行かれる日向に苦笑しながら換気の為に窓を開けた。( うわ、外も中も相変わらず寒いな )


── そして、翌日。金曜日。


「「ふ、あ〜〜〜あ」」


「揃いも揃って眠そうだな」


田中とスガ先輩に釣られる形では有ったものの、小さく欠伸をすれば、唐突に後ろから声を掛けられてぎくりと肩を揺らす。振り返って見れば、真顔の大地先輩が居て。


「えっ、そお!? 勉強のし過ぎかなァ〜〜?」


「おっ俺も勉強のっ」


( お前に限ってそれはねえわ… ) スガ先輩も同じ事を思っていた様で、遠慮無しに突っ込まれた田中。俺は自炊するようになったんでとあながち嘘ではない答えを返した。


「…まあ、良いや。今日から入部の一年を紹介するよ」


「宜しくお願いしまぁーす!!」


「「!!」」





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作者名:紗羅 | 作成日時:2017年10月16日 1時

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